真に会社の未来を託せる人をトップに選べない悲劇
報告書では、専門性と多様性の改革を進めている典型的な例として、日本のトヨタ自動車と、英ロンドンに本社を置く鉱業・資源分野の多国籍企業グループ「リオ・ティント」 (Rio Tinto)の取締役会の表を掲載した=図表7、8参照。トヨタでは、7年間で取締役を58人から9人にまでスリム化。うち社外取締役を3人、外国人を2人、女性を1人にした。
リオ・ティントでは、取締役会と経営陣が分かれているのが特徴で、経営陣のほうが40代も多くて若い。そして、両方とも女性が多く、国籍も無回答(N/A)を除くと、計5か国と多様だ。それにしても日本企業トップのお粗末すぎる現状、いったいどうすれば世界水準に達することができるのだろうか。報告書はこう結んでいる。
「真に会社の未来を託せる人をトップに選べていないことが問題の本質だ。社長の指名こそがコーポレートガバナンスの核心だ。社長の指名は、内部の論理ではなく、独立社外取締役を中心に構成される指名委員会が行うべきだ。指名委員会を法定で設置している企業は、東証一部上場で8.3%にすぎない(2020年データ)。指名委員会に社外取締役の比率を増やすべきだ」
(福田和郎)