補助金だけ受け取りコロナ患者の入院拒否ってアリ? 厚労省がトンデモ病院の調査開始(1)

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24時間365日受け入れる「ER」病院がほしい

   そして高久氏は、日本は米国のように24時間365日受け入れ可能な「ER型」(救急医療)病院が発達していないとして、問題点をこう指摘する。

「中小規模の民間病院が乱立しており、救急医療に携わる急性期病院であっても救急専門医が1人しか常駐しない病院もある。また、看護配置の高い病院に手厚い診療報酬を設定していたこともあり、実際には急性期患者の診療実績が乏しい病院まで急性期医療に参画してしまっている。言葉は悪いが、(救急患者に治療を行わないと罰則がある米国と違って日本は)困難な患者の受け入れは断ってしまえるので、多くの病院が診療報酬上のメリットを目当てに急性期医療に手を上げている。
たとえば、重症化した患者を診る大規模病院であっても、コロナ対応の集中治療室が10床程度であれば感染拡大に伴い、あっという間に満床になってしまう。そうなると近隣の中等症を受け入れる病院も、重症化リスクの高い患者を受け入れることに躊躇してしまう。結果として医療システム全体が逼迫し、患者が必要な医療を受けられないケースも出てしまった。こうした事態を避けたいのであれば、平時から医療者の過度な負担なしに『24時間365日断らない医療』が実現できるような仕組みが指向される必要がある」

   高久氏はこう結んでいる。

「政府は病院にコロナ患者を受け入れてもらうために、空床確保料という潤沢な金銭的インセンティブを与えることで対処してきた。膨大な公金が投じられた一方で、国際的には少ない感染者数にもかかわらず医療システムはすぐに逼迫してしまっている。この事実は個々の医療従事者の献身的な取り組みとはまったく別に、全体的なシステムとしてわれわれの医療提供体制が大きな問題を抱えていることを示唆している。
飲食店における営業の自由をはじめ、多くの人の基本的権利が感染抑制のため長期間制限されるなか、医療従事者には強制力を伴う診療協力や米国で行われているような病床拡大の義務化ではなく、病院によっては大幅黒字になるほどの強力な金銭的誘導が行われている。これはバランスを欠いている。さまざまな面で、コロナ禍で浮かび上がった課題をポストコロナの医療に生かしていく必要があるだろう」

   高久氏は、病院を「補助金漬け」で「コロナ太り」にするより、全体のシステムを変えていくべきだと主張するのだった。

(福田和郎)

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