山田社長、海外に意欲 「次のグローバル展開を推し進める」
今後の成長に向けて考えられるのが、一段の海外展開と新規事業だ。
山田進太郎社長は決算発表の席上、「次のグローバル展開を推し進める」と、米国に続く海外事業の強化に意欲を見せた。具体的な地域については、「まったくの未定」としつつ、「CtoC(消費者間)のオークションの市場規模がある地域を考えると、欧州全体は一つの選択肢。米国と同じぐらいの大きなマーケットがある。また、アジア、インドなどの新興国もあり、フラットに可能性を考えていく」と述べており、欧州が当面の焦点になりそうだ。
新たな事業では、CtoCからBtoC(事業者・消費者間)への展開が注目される。21年1月に新会社を設立し、9月から「メルカリShops」をスタートさせる。事業者がスマホから簡単にEC(電子商取引)サイトを開設できるのが売りで、メルカリの2000万人の顧客に商品を販売できる。この事業がどのように広がっていくは大きな注目点だ。
このほか、スマホ決済の「メルペイ」は21年6月期の利用者数が前期比322万人増の1067万人となり、21年5月には単月黒字化を果たした。8月からメルカリの利用実績などをもとに、金利や限度額が決まる少額融資サービスを始めたが、こうした「与信」を軸に、フリマとも連動させた収益の積み上げを図る。暗号資産(仮想通貨)の「ビットコイン」などを活用した金融サービスも推進する考えだ。
ただ、新しい分野、新しい地域展開は見通しを立てにくいところ。本業の日米を中心としたフリマ事業の収益に陰りが見えるなか、新たな成長軌道をどう描いていくか。単年度黒字化は、出発点に過ぎない。(ジャーナリスト 済田経夫)