過剰債務で30.0%の企業が「事業再構築の意向はない」
さらに、調査では「コロナ前から過剰感」、「コロナ後に過剰感」と答えた企業(2757社が回答)に、「債務(負債)の状況が、貴社の事業再構築への取り組みに影響を与えていますか」との問いに、30.0%(829社)の企業が「事業再構築の意向はない」と答えた。
一方、過剰債務が足かせで「取り組むことができない」と答えた企業は15.4%(425社)、「取り組み規模を縮小した」は18.9%(522社)だった。過剰債務を抱える企業のうち、34.3%が事業再構築にマイナスの影響を訴えている。
規模別でみると、過剰債務が事業再構築の足かせになっている企業の割合は、大企業で32.3%(201社中65社)、中小企業で34.5%(2,556社中882社)だった。
東京商工リサーチによると、政府のコロナ関連支援で、2021年1~7月の企業倒産(負債1000万円以上)は3520件と前年同期(4790件)を26.5%下回った。ただ、感染拡大に伴う度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発令で、対面型サービスを展開する業種は苦境が続く。
現状、「実質無利子・無担保融資」などの貸付型支援、「新型コロナ特例リスケジュール」などのリスケ型支援で資金繰り破たんが回避されているが、業績回復が遅れた結果、水面下では返済猶予などの支援策が過剰債務を誘発する結果になっている。
足元では「過剰債務」を訴える企業が3社に1社あり、債務が事業再構築の足かせになっていると答えている。政府が描く事業再構築が理想倒れに終わる恐れもあり、成長戦略と同時に、過去の債務への抜本的な対応が必要な時期が迫っている、と指摘する。
なお調査は、8月2日~11日に実施。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。有効回答の9105社を集計・分析した。「過剰債務に関するアンケート」は今回が3回目。