外国人労働者の健康管理や労災対応に遅れ
さらに、外国人労働者が従事している事業所の割合は14.4%で、このうち外国人労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は89.8%となっている。労災防止策への取り組みは、比較的実施されていると言えそうだ=表3参照。
ただ、対策の内容を見ると、「定期的に必要な健康診断を受診させている」企業は62.3%、「外国人労働者にわかる言語で説明するなど、作業手順を理解させている」との回答は49.8%と高い。
しかし、健康診断の受診は労働者としての当然の権利であり、これは労災防止策と言えるのだろうか。また、外国人労働者に対して、作業手順が理解できるように説明を行うのは、仕事上では当然だろう。 しかし、「産業医や衛生管理者等を活用して、健康指導及び健康相談を行うようにしている」と答えた企業は15.7%、「災害防止に関する標識、掲示、表示灯について、図解や母国語を用いて理解できるようにしている」企業は19.2%と低い。
つまり、外国人労働者が業務上で必要な点については対応しているものの、健康管理や労災防止についての対応は遅れている。
これらの調査結果から見て、少なくとも日本の事業所が安全衛生管理、労働災害防止が十分に実施されているとは言い難い。(鷲尾香一)