全力で仕事を断る!? あなたの隣の「モチベーション下げマン」はこんな人(西野一輝)

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   本連載記事でモチベーションが高い人が取り組んでいることを、紹介を続けてきました。今回は逆にモチベーションが低いようにみえる人がやっていることの特徴を紹介したいと思います。

   まさに本題に戻ってきた感じでしょうか――。

  • モチベーション下げマンは仕事を全力で断ろうとする
    モチベーション下げマンは仕事を全力で断ろうとする
  • モチベーション下げマンは仕事を全力で断ろうとする

時間管理ができない! 計画を立てない!!

   取材した不動産会社で管理部門に勤務しているDさんは、誰がみても仕事のモチベーションが低いタイプの存在。会議はネガティブな発言をたまにするが、それ以外では寝ているかのように存在感を消して参加。自ら前向きに仕事に取り組む姿勢をみた同僚が誰もいない。だから社内での評価も低く、その状況に甘んじている。

   上司も諦めぎみで、モチベーションを高めることをしようとしません。そんな?さんの仕事上の特徴として代表的なのが時間やスケジュール管理が得意でないこと。「この仕事お願いしたいのですが」と職場の同僚が相談をしてくると、「ちょっと厳しいですね」と全力で断ろうとします。

   それでも、上司から言われてやらざる得なくなったとしても「いつまでにやるのか?」明確な回答が返ってきません。

   そうなると上司が「ならば、来週中にお願いしたい」と要望をすることになりますが、仕事が終わることはない。結局1、2週間くらい遅れて仕上がってくることが大半。仕事をするときは、誰もが限られた時間の中で働いているので、「いつまでに何を終わらせるべきか」ということについては、「計画」を立てなければなりません。

   ところが、Dさんは計画を立てずに作業を行ってしまうので、なかなか仕事が終わらず、無駄に疲れて1日が終わるという悪循環を繰り返します。

   その結果、ストレスが溜まり、「もう仕事なんかやりたくない」という気持ちになり、仕事に対するモチベーションが低く、上司や同僚の期待にも応えられない状況になってしまいます。

仕事の重要度を把握していない!

   モチベーションが高い人ならば、もっと早く仕事を仕上げるために工夫を凝らすでしょうが、「無計画に作業を行う」という姿勢をなかなか崩さないため、仕事が計画どおりに終わらない悪循環から抜け出すことができません。

   ちなみにDさんのスケジュール管理を観察すると「これでは無理だな」と思える特徴が幾つもみえてきます。たとえば、スケジュールラーに仕事のことを書き込んでいるのですが、その中身がざっくりすぎるのです。

   会議、作業とだけ書かれていて、業務を細分化できていないため、どのくらい工数がかかるか把握できていません。あるいは作業で確保した1時間で、その仕事が終わるのか? 算段していないので、1日にやるべきことを詰め込み過ぎたり、逆に余裕を持ち過ぎたりしてしまいます。

   さらに仕事の重要度も把握してない様子。テキパキと仕事を終わらせる気持ちがないので、適当に作業を進めているため、仕事の手戻りが多く、無駄に時間をかけていました。 こうした状況が続き限り、仕事で高い成果をあげることは難しいと思われます。

   モチベーションが高まる機会の典型は周囲から褒められたり、称えられることです。こうした機会が生まれにくいので、モチベーションが上げづらい状況に陥っているといえます。「鶏が先か、卵が先か」という議論かもしれませんが、計画性を高めて、その結果、いい仕事をすることで、周囲から「素晴らしい」「ナイス」と褒められて、モチベーションが高まるきっかけをつくるのが一つの対処法かもしれません。

   モチベーションが低い状態に慣れてしまうことは、いいことではありません。周囲で見かけたらアシストして、状況の打破ができるといいですね。(西野一輝)

西野一輝(にしの・かずき)
西野一輝(にしの・かずき)
経営・組織戦略コンサルタント
大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000人以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。
著書に、「モチベーション下げマンとの戦い方」(朝日新書)がある。
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