「野戦病院」ではなく「酸素ステーション」とは!「菅首相、どれだけ苦しいか体験しては」と専門家が怒りの声(2)

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   新型コロナウイルスが大爆発するなか、ついに感染した妊婦が、入院先が見つからないまま自宅で出産、新生児が亡くなるという痛ましい事故が起こった。

   医療先進国ではあり得ない悲劇がいつまで続くのか。なぜ、日本では欧米やアジア諸国が行っているような「野戦病院」方式の非常時の医療体制ができないのだろうか。

   菅義偉首相は「酸素ステーション」をあちこちにつくると、ガソリンスタンドのような対策を発表したが、医療の専門家は「どれだけ苦しいか、あなたがやってみれば」と呆れている。

  • コロナと戦う医療従事者
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「1時間後に死ぬ」人たちが集まる酸素ステーション

   菅義偉首相や東京都が「野戦病院」をつくるより、「酸素ステーション」を設置することに力点を置いていることに対して、医療の専門家たちは「酸素ステーションでは、いざという時に患者を救えない」と否定的だ。

東京五輪の選手村を「野戦病院」にできないのか?(東京五輪組織委公式サイトより)
東京五輪の選手村を「野戦病院」にできないのか?(東京五輪組織委公式サイトより)

   フジテレビ(8月17日付)「『首相は何も見えてない』政府表明の『酸素ステーション設置』に発案者から疑問の声」が、こう伝える。

「菅首相が打ち出したコロナ対策の一手。呼吸に異変の生じた自宅療養者に酸素を投与する場所、すなわち『酸素ステーション』を整備することを表明。 しかし、この方針に対しては疑問の声をあげる人がいます。酸素ステーションを考案した神奈川県の医療危機対策統括官です。
神奈川県医療危機対策統括官・阿南英明氏:『あえて批判しますけど、酸素ステーションをつくれば解決するなんてとんでもない』。8月7日から神奈川県が独自に稼働を開始した『酸素ステーション』の内部にカメラが入りました。これはその様子です」

   フジテレビは悲惨な映像を報道する。

「無線:患者を搬入させていただきたい。
長岡看護統括:了解です。名前と時間教えてください。職員:苦しいところは? 患者:ない。
パーティションで仕切られた空間には、簡易ベッドに机と椅子のセット、酸素投与の装置が置かれています。そこで防護服姿のスタッフが対応します。この酸素ステーションでは、医師が入院と酸素吸入が必要と診断したものの入院先が見つからない患者を一時的に受け入れ、24時間体制で酸素投与を行っているのです。
患者の血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターには、『95』の数字が表示されます。重症化の目安となるのが血液中の酸素飽和度です。長岡看護統括:すぐに人工呼吸器につなげたほうがいいなと思う患者もいたし、今すぐ治療が必要だなと思う患者も入所していました。こんなに酸素が必要な人が入院できずここにいるということが、私としてはびっくり。この1週間で、28人がここで酸素の投与を受けました。しかし病状は回復せず、全員が病院に搬送され、入院することになりました。
こうした『酸素ステーション』が、『国民の命を守る』大きな一手となるのでしょうか?」

   ここで、阿南英明氏はこう語るのだった。

「災害医療の発想です。本当に最低限、点滴をするとか酸素を吸う、こういう応急救護所の医療があるわけです。やらなかったら1時間後に死ぬという人たちを、酸素を投与することで半日一日、命がつながって、病院につながっていくわけです。あくまでも入院させたいです。入院して治療すべきだと思っています。酸素ステーションは解決策ではありません。つなぎです。この視点を持たないとだめです。そこが見えてない。あの(菅首相の)発言の中には何も見えていない」
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