2020年度の相談件数、前年度比35%増
家具なども、在宅時間が長くなれば、気になることも出てくる。特に椅子。ある都内のビジネスマンは在宅が多くなり、数万円の輸入物のオフィス用のいすを購入した。「長時間座ることになり、腰が痛くなり始めたので、ちょっと奮発しました」と語る。
ちょっと座るくらいでは、自分の椅子の座り心地の悪さに気づかなかったわけだ。これは、生活環境の改善に結びついたという意味ではプラスの効果かもしれないが、会社が費用を出してくれるわけではなく、懐には痛い。
マンションの管理組合などに助言をしたり、苦情の調査を行ったりしている「マンション管理業協会」(東京都港区)が6月末に発表した調査結果によれば、2020年度の相談件数は7703件にのぼり、前年度(5707件)から35.0%増と大幅に増加した。コロナ禍の影響が大きいとみており、マンションを巡る苦情や不満は今後も増え続ける可能性は少なくない。
不動産業界関係者は「マンションでは住民同士が親密に付き合うことが少ないケースが目立つ。互いに普段から親しければ大目に見ることができても、知らない人の行動には小さなことでも我慢できなくなるのだろう」と話す。
コロナ禍のなか、周囲の人を気遣い、騒音などに配慮することは欠かせないが、住民同士が互いに付き合いを深めるような取り組みも今後、重要になってくるだろう。(ジャーナリスト 済田経夫)