今週(2021年8月9日週)のトレードはかなり苦戦したようだ。
「自分のトレード手法にはあまり向かない相場だった」という同志社大学のFOXさんは、レンジ相場に米ドル円で挑んだが、思うように伸ばせず。「このような地合いのときは、その相場に合っているやり方をやることを学んだ」と振り返る。明治大学の佐藤諒さんは8月5日から保有していた売りポジションのユーロ円を損切り。一歩降後退した。
早稲田大学のNAKAMURAさんは、FRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和の縮小)議論がどうなるか、気にする。「ファンダメンタル要素について一度、自分の中で整理してから今後の取引に臨もうと思った」と、今週も取引は控えた。
慶應義塾大学の2Gさんは体調がすぐれず、取引できず。また、一橋大学のボンゴレさんは多忙のため、取引をお休みした。
注目はFRBのテーパリング議論のゆくえ(早稲田大学 NAKAMURAさん)
FX大学対抗戦をご覧のみなさま、こんにちは。早稲田大学3年のNAKAMURAです。
まず、今週(8月9日週)の振り返りをしていきます。結果からいうと、今週も取引は控えました。僕自身バタバタしていてあまりチャートが見られなかったという理由もありますが、8月26日?28日に米ジャクソンホール会議(カンザスシティー連邦準備銀行が毎夏、ワイオミング州のジャクソンホールで開く金融・経済シンポジウム)が控えるなか、FRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和の縮小)議論がどうなるかなど、ファンダメンタル要素について一度自分の中で整理してから今後の取引に臨もうと思ったからです。
児山将さんのコメントにもあったように、「ジャクソンホール会議でパウエル議長が12月よりもテーパリング時期を前倒しするコメントをすると、ドル買いが進みやすい」と考えられるので、こうした傾向が見え次第、ドル買いを基本スタンスとして進めていこうと思います。
今週の大きな流れとしては、米長期金利が上昇し、国内債にも売りが及んでいます。前回の記事で、インフレ期待による実際のインフレ促進について触れました。
「米労働省が11日発表した7月の消費者物価指数(CPI、1982~84年=100)は前年同月比の上昇率が5.4%となった。約13年ぶりの高水準だった6月(5.4%)と同じだった。在庫不足など供給制約が続く自動車関連を中心に価格の上昇圧力はなお強い。物価を長く押し上げる賃金も伸びている」(日本経済新聞 8月12日付朝刊『米消費者物価5.4%上昇』)
しかし、11日発表のCPIは市場予想値を下回り、米長期金利も1.3%を割り込んでこの週末を迎えています。現在の米経済成長率やインフレ期待を考慮すれば、今後は徐々に上昇していくのではないでしょうか。
前回に引き続き、米国債、BEI(ブレークイーブンインフレ率=市場が推測する期待インフレ率を示す指標)、TIPS(インフレ連動債)の関係について、触れておきます。米長期金利から予想物価上昇率(BEI)を引くと実質金利が導かれます。TIPSはアメリカが発行するインフレ連動債の一つで、実質金利に当たります。また、米長期金利が上昇すれば、相対的に米国債の価値は低くなります。これは、今週の大きな流れからもわかることです。
これらの指標をどのように実際に自分のトレードに応用していくかという点について、今後さらに深く考えていきます。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
FRB(米連邦準備制度理事会)要人の発言や経済指標などから、年内のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)はほぼ織り込んでいるといって良さそうです。パウエル議長の発言は今のところ一貫していますが、過去には急にスタンスを変更したことが何度かあります。米ジャクソンホール会議で、あからさまな発言はないでしょうが、現状維持か、それとも見方を変えてくるのか。それを知るだけでもテーパリング開始時期の前倒しか否かを計ることができます。
18日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、少しタカ派なのではという市場の予想を裏切りましたが、ドル円の下落はわずか20銭程度。6時間後には発表前の高値を更新しました。
催促ぎみな相場となってきており、たとえパウエル議長が今までと変わらない発言をしたとしても、雇用やインフレ率は良く、テーパリングは時間の問題としてドル買いが続きやすい次回なのかもしれません。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
8月13日現在 96万5053円
売りポジションのユーロを損切り(明治大学 佐藤諒さん)
今週(8月9日週)の取引は、先週の8月5日から持っていた売りポジションのユーロ円を損切りしたのみになります。狙っていた取引はGBP/JPY(英ポンド円)の三尊形成を狙ったロング(買い)ポジションですが、上抜けなかったので見送りました=下の画像参照。
これはポンド円の4時間足チャートです。1か月くらいかけて作っていた大きな三尊だったので、上抜けたら大きな上昇になると思いましたが叶いませんでした。
次週はアメリカのテーパリング(量的緩和の縮小)情報を気にしながら、EUR/JPY(ユーロ円)のショート(売り)を狙っていきたいと思います。ここまで資金を増やせていないので過去のトレードを振り返るなどして慎重にいきたいと思います。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
先週半ばまで強さを見せていた英ポンドですが、強い英GDP(国内総生産)にもかかわらず反落となり、米ドル円の下落にも引きずられるかたちとなりました。しかし、英ポンドの強気な見方は多く、特に英国経済がユーロ圏をアウトパフォームすると予想もあり、イングランド銀行(BOE=英中央銀行)がECB(欧州中央銀行)よりも早期に出口戦略を実施すると考えているアナリストが多い模様です。
2022年半ばにも利上げ開始の可能性が高いとする予想もあり、そのシナリオではポンドドルは年末までに1.4200ドル(英ポンド円で155~157円程度)まで上昇することになるそうです。きれいな逆三尊の上抜けに失敗しましたが、まだ上昇の望みはありそうです。
前週からの損益 マイナス1万5000円
8月13日現在 95万5000円
レンジ相場は「自分のトレード手法に向かない」(同志社大学 FOXさん)
◆ 今週(8月9日週)の相場
今週はお盆の関係もあり、少しトレードに時間を割くことができなかった。でも、とりあえず今週の相場の流れを振り替えりたい。先週は、週初めはリスクオン。つまり米ドルに対して円が弱い展開となった。しかし週末に実需からか、円買いが進み、終わってみれば円が強いというような週になった。この影響から、来週もこの週末の引けに対してのこの流れは、少しは影響して円が強い展開が続くのではないかと考える。
◆ スキャルピングの精度
今週は米ドル円を取引。数少ないトレードだったのだが、全体としてレンジ相場が多く、自分のトレード手法にはあまり向かない相場だった。簡単に言うとレンジブレイクを狙っているトレードなので、このような地合いのときは、その相場に合っているやり方をやることを学んだ。
そして、その失敗をしているうえで気づいたのは、いつものレンジブレイクのスキャルピングに対して、他通貨の相関関係を重ねたトレードをしていこうと思った。来週から実践してみたい。
◆ 実際のトレード
8月10日 プラス3pips(1pips=0.01円)
8月11日 マイナス5pips
8月12日 マイナス12pips
8月13日 プラス6pips
8月14日 プラス2pips
合計 マイナス6pips
今週の総資産残高は、108万3080円だった。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
レンジブレイクの短期売買は、シンプルそうに見えて意外と難しいものです。とはいえ、順張りのためトレンドの大小にかかわらず勝率は50%を超える可能性が高くなるはずです。
精度を上げるためのヒントの一つとして、ブレイクポイントをより多くの人が見ていることが重要となります。そのために、複数の時間足で水平線を引いてみてはいかがでしょうか。30分足でも4時間足でも同じ価格帯に水平線を引けるとすれば、両方の時間足を見ている人が意識している節目となります。そのため、値動きは複雑になりづらく、節目で一度は止まる、抜ければ素直に順張りという取引で勝率が上がりやすくなるはずです。
前週からの損益 マイナス6960円
8月13日現在 108万3080円
福岡県出身。
◆ 体調がすぐれず、取引できませんでした(慶應義塾大学 2Gさん)
体調がすぐれず、取引できませんでした。回復に務めます。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
8月13日現在 94万4400円
◆ 多忙のため取引をお休みしました(一橋大学 ボンゴレさん)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
8月13日現在 115万2980円
神奈川県出身。
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/