注目度が高いのは、太陽光発電、風力発電、電気自動車関連
―― 自社の技術を通じて脱炭素に貢献できればベストですが、一方で直接貢献ができない会社はどうすればよいでしょうか。
川上さん「それぞれの企業の特徴に応じた環境貢献の姿があると思いますが、共通的な取り組みとしては再生可能エネルギー(再エネ)の活用が考えられます。自社の敷地内で太陽光発を行うオンサイト発電、再エネで発電された電力であることを示す『電力証書』の利用などです。LIXILも、事業で使う電力を再エネ100%とする国際イニシアチブ『RE100』に参加し、再エネの導入を拡大しています。
企業活動で使う電力を再エネに置き換えたら、かなりのCO2排出量の削減につながります。最近では、さまざまな再エネの選択肢も増えましたが、さらに再エネが普及し、誰もが普通に選択できる社会となるよう、JCLPも積極的に活動していきたいと思います」
再エネ利用への期待度は高い
――環境技術を有する企業が、RX Japanが主催する展示会「脱炭素経営 EXPO」(秋展が2021年9月29日~10月1日、東京ビッグサイト青海展示棟で開催)に出展。脱炭素に関心を持ち、技術や商品を活用したい企業の担当者も多く来場し、接点ができる場となります。
川上さん「世界的にみて、とくに太陽光発電、風力発電、電気自動車(EV)、ヒートポンプの分野は、すでにマーケット普及期である、ととらえられています。そのため、脱炭素経営 EXPOでも、これら技術や関連商品は注目度が高いのではないでしょうか。
気候危機の回避は、2030年までの私たちの行動にかかっているといわれています。足元でマーケット普及期にある技術をいかに経済合理的に普及させ活用するか。また、実証や試作段階にある技術をどう実用化していくか。意見交換や商談、企業同士の連携を模索する場として、脱炭素経営 EXPOが、その名の通りの役割を果たしていただくことを期待しています」
脱炭素経営 EXPOの魅力は、製品を実際に見て比較検討できる。直接説明が聞ける。知らなかった企業・技術に出会える。
―― 最後に、多くの企業が「脱炭素」「脱炭素経営」に取り組めば、どんな未来が拓けていきますか?
川上さん「JCLP加盟社でいま関心事となっているのは、約10年先の2030年にはどうありたいか、どうすべきかというテーマです。『10年後』というと、時間があるようで、ありません。どのような目標を設定して、成し遂げていくか、真剣な対応が迫られているのです。事業を成長させることと、脱炭素を推し進めること、この両立は時に難しい局面もあるかもしれません。それでも、脱炭素にJCLP加盟社が真剣に取り組んでいる理由は、自社の本業を通じて地球環境や社会に貢献したいと考えているからです。私たちの世代から子供たちや孫の世代へと、この地球を引き継ぐにあたり、しっかりと責任を果たしていくことが私たちの使命だと信じています」
「脱炭素経営 EXPO」秋展では、共同出展を含め、480社ほどが出展する見込み。また、脱炭素の潮流や先進事例などを企業のトップらが語るセミナーも実施。川上さんも「特別講演」に登壇する予定だ。川上さんほか各公演の詳細は、下記のボタンから。
プロフィール
川上 敏弘(かわかみ・としひろ)
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)共同代表
株式会社LIXIL 環境推進部 リーダー
1988年、株式会社INAXに入社、IT部門、人事部門に在籍。2011年、株式会社LIXIL発足後は、人事部門、CSR環境推進部 部長を経て、現職は株式会社LIXIL 環境推進部長。グループの環境戦略立案と推進機能の統括を担う。
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)
脱炭素社会への移行をビジネス視点でとらえる日本独自の企業グループ。危機意識を共有した企業が参加。正会員31社、賛助会員164社(2021年8月現在)。自社の脱炭素化、社会へのソリューションの提供、そして政策提言を主な柱として活動。RE100・EP100・EV100の日本地域パートナーとして、日本窓口も担当する。
公式サイトはこちら。