すべての会社に「脱炭素経営」が必要なワケ 日本気候リーダーズ・パートナーシップ共同代表(株式会社LIXIL環境推進部リーダー)川上敏弘さんに聞く

提供:RX Japan

2020年、日本でも「脱炭素」の動き活発に

電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及が進む
電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及が進む

―― パリ協定の運用が本格化した昨年(2020年)、菅義偉総理大臣も2050年までに「脱炭素社会の実現をめざす」と発信し、脱炭素への関心は高まっています。日本の産業界ではいま、どんな動きがありますか。

川上さん「JCLP加盟企業の皆さんと対話していると、明確に日本にも『脱炭素』『脱炭素経営』の波が本格的に来ていると感じています。
一例として、あるスマートフォンメーカーは、商品に必要な部品の供給元であるサプライヤーに、100%再生可能エネルギー(再エネ100%)で製造することへの協力を求めてきましたが、昨年には『努力目標ではない』と明確な意思表示があり、サプライヤーと協力して再生可能エネルギーの確保にも取り組んでいます。
自動車業界も、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の普及を急いでいます。それに関連する話でいえば、自動車部材を供給するあるメーカーは、部材の製造から廃棄までの過程で発生するCO2排出量を公開して、話題になりました。
こうした動きをみると、近い将来、サプライチェーン全体、そして商品のライフサイクルを通じたCO2排出量の削減が求められるようになるでしょう。企業は脱炭素を前提とした活動、つまり、事業運営の舵取りに脱炭素の考え方を盛り込んだ『脱炭素経営』が求められる段階になってきているといえるのではないでしょうか」
日本気候リーダーズ・パートナーシップの公式サイト
日本気候リーダーズ・パートナーシップの公式サイト

―― 「脱炭素経営」を考えるうえでのポイントは、どんなことでしょう。

川上さん「事例として、LIXILでの取り組みを紹介します。先ほど触れた2015年のCOP21の視察で、グローバル企業のトップが脱炭素を前提とした経営に舵を切ろうとする姿を目の当たりにして、危機感を持ちました。事業の脱炭素化に取り組まないことはリスクになりますが、反対に、変化する社会や市場に素早く対応することで大きなビジネスチャンスにもなり得ます。
LIXILでは、まずは脱炭素に向けた環境ビジョンをまとめ、事業活動や社内活動に落とし込んでいきました。
住まいと暮らしに関わる事業を展開する私たちは、窓やドアなどの建材商品、トイレや水栓金具などの水回り商品といった、お客さまのもとで長く使っていただく商品を取り扱っています。そのため、お客さまに使用いただく長期に渡って、エネルギー消費にともなうCO2排出量を減らせる商品・サービスの開発を進めています。たとえば、窓やドアなど建物の開口部の断熱性能向上による暖冷房負荷の削減や、節水型商品やタッチレス水栓による給湯負荷の削減など、弊社の技術で貢献できる部分は大きいと思います」
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