北海道大学の上田晃史さんは、英ポンド円にエントリーしてプラスで終えたものの、少々不満げだ。最近、取引回数が減ったことで、「戦略の試す機会が少なく、感覚が研ぎ澄まされてないように思う」という。同様にポンドの動きをウォッチしている慶応義塾大学のトリオネアさんは、「ポンド円は値幅の小さいレンジ相場であった」ため、エントリーできず。
明治大学の佐野快斗さんは米ドル円にチャレンジしてがっちり! 2位の専修大学を突き放しにかかる。ポンドは保有したまま。専修大学のめがねちゃんは、「今週は相場が予想外の動きをみせた」ため、様子見した。
取引機会少なく「感覚が研ぎ澄まされていない」(北海道大学 上田晃史さん)
◆ 振り返り(8月9日~13日)
下表は、今週(8月9日週)の取引成績です。前週と同様にあまり取引に時間を充てられなかったのですが、英ポンド円で取引を進め、プラスで終えることができました。最終残高は7200円増の118万5888円です!
児山将さんのアドバイスに従って、指値をうまく利用したかったのですが、いまいち検証できませんでした。しかし、なるべき引きつけた注文を意識してボラティリティの範囲の下限はここか! というタイミングを狙いました。
最近、単純に取引回数が減っていて(多いから良い・少ないから悪いということはないのですが)戦略の試す機会が少なく、感覚が研ぎ澄まされてないように思うので、次週以降はそういう意味でもなるべく回数を増やしつつ、狙いつつという感じでいきたいと思います。
現在、順位が1位ではないので、リスクを取りつつ勝利を目指して頑張っていきたいと思います。
◆ 個別取引について
8月6日~12日はポンド円の相場があまり動いていませんでした。長くヨコヨコの相場の後には比較的大きなトレンドが生まれるためその機会がいつくるのかということを考えて動くようにしていました。
ここだ! と思えたのは12日22時の注文です。その時のチャートが下図です。
チャート図に引いてあるような抵抗線がエントリーした時にあると思いました。なんとなくの感覚ですが、ここは反発して上に抜けるというより、抵抗線にそって下落しそうだとのことでショートポジションを、15万通貨分取りました。
1時間後の23時過ぎに順調に利益が出ていたのですが、それまでの下落よりも角度が急になっていることから一度反発がくるだろうと思って利益を確定したのですが、反発することなくそのまま下がって行きました。利益が出ているのでこのままポジションを持つ余裕があっただけに悔しい思いです。
また13日、14日も反発することなく下落して1ポンド=151円台に突入したので、(過ぎてしまったことはどうしようもないのですが)もし、そのまま持っていれば15万円以上の利益が出ていました......。
次週以降の戦略としては12日から始まった下落がどこまで続くかに注視しつつ、反発がいつくるかも同時に考えたポジションを構築していきたいです。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
コロナ禍への耐性をみせる英国ですが、ポンド円は米ドル円に左右される日々が続いています。
そのドル円は、米ジャクソンホール経済シンポジウムと9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)待ちとなっています。そんななか、マーケットを驚かせたのは、FRB(米連邦準備制度理事会)のクラリダ副議長の「FF金利(米政策金利)誘導目標の引き上げの必要条件が22年末までに満たされるだろう」という発言。同時にテーパリング(量的緩和の段階的縮小)開始のアナウンスを年内に行うことを支持するとも語りました。テーパリングの年内開始は、おそらく市場の予想どおりですが、副議長がタカ派になったことに市場は驚きました。その後も、ハト派だったウォラーFRB理事もハト派からタカ派になりました。
それでも、ドル円は111円を上抜けてこないことを見ると、パウエル議長の発言が変化しない限りはレンジ相場で、ポンド円の羅針盤となるのではないでしょうか。
前週からの損益 プラス7200円
8月13日現在 118万5888円
大阪府出身。
ポンド円、レンジ相場に助けられたけど......(慶応義塾大学 トリオネアさん)
8月9日(月)
先週は私用が重なりほとんどチャートを見る時間が取れなかったので、今週(8月9日週)からまた、本腰を入れて引き続き英ポンド円相場の検証や分析を行っていく。先週の動きを簡単に自分の中でまとめてみると、緩やかなレンジの中におり、上下の方向感が掴みづらい位置にあった。
週明け現時点でのポンド円の方向性は上が有利だと見ており、7月30日頃に作った直近での最高値を超えてくるのかどうかが重要な節目だと感じている。
8月12日(木)
ポンド円は横に流れぎみな値幅の小さいレンジ相場であったため、なかなか入る機会に恵まれず、今週はいまだに一つもポジションを取っていない。しかし、9日(月)の時点では上目線であったポンド円だが、このまま高値を更新するためには上昇の角度が現時点では緩やかすぎることに気付き、目線を下目線に変更した。
結果的には、レンジ相場のおかげで目線が間違っていた状態でもポジションを取ることがなかったので、余計な損を出さずに済み、不幸中の幸いであった。
8月13日(金)
12日(木)夜からの大幅な下落についていくことができず、結局、今週はポジションを取らずに閉場を迎えることになった。
来週も引き続き下落相場が続く可能性が高いと見ている。個人的な狙い目としては、上の図1の水色の細いチャネルでの裏タッチから、緑色のゾーン辺りまでの値幅を狙っていきたいと思っている。緑色のゾーンを超えてくるようだと、一番下の細い水色ラインまで来る可能性も考慮して対応していきたいと思う。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
英ポンドは週ごとに目まぐるしく状況が変化しています。13日に発表された6月の英GDP(国内総生産)は前月比1.0%と予想外に強い内容となりました。5月分が0.6%に下方修正されたものの、市場予想を上回りました。それにも関わらず英ポンドは伸び悩み、上抜けるにはもう一段強い材料がないといけないということでしょう。イングランド銀行(BOE=英中央銀行)は、2023年後半まで量的緩和の引き締め開始の可能性は低いという市場予想のため、これが前倒しになる要人発言や経済指標が出ない限りは上値が重くなるのかもしれません。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
8月13日現在 110万5175円
米ドル売りでがっちり!(明治大学 佐野快斗さん)
◆ 今週(8月9日週)の相場
先週は8月11日(水)に米国消費者物価指数発表、12日(木)にイギリス第2四半期GDP(国内総生産)発表がありました。
JETROのビジネス短信によれば、米国消費者物価指数は、前年同月比で5.4%上昇し、前月の発表とほぼ同内容となりました。前月比では0.5%上昇で、前月発表を下回りました。
今回の発表は経済再開とインフレのピークに達したことを示唆しているものの、民間では雇用が回復傾向にあり、インフレ期待値は上昇傾向にあるとのことです。ドル円は、8月11日21時からの1時間足では、最高値1ドル=110.703円、最低値110.395円の大きめの陰線を付け、それまでの上昇トレンドから週末の下降トレンドへの転換点になりました。
12日のイギリス第2四半期GDP発表は、前期比でプラス4.8%、前年比でプラス22.1%となりました。新型コロナウイルスの変異株の影響で落ち込んだ前期・前々期ぶりのプラスとなり、ワクチン接種の拡大の効果がこの結果の要因となったとみられます。
ポンド円は12日15時からの1時間足では、1ポンド=最高値153.143円、最低値153.014円と速報値であることもあり、大きくは動きませんでしたが、その後ポンド円は152.000円をわるまで下落しました。
◆ 今週のトレード
米国消費者物価指数発表時に、ドル円を5lotショート(売り)し、プラス10pips(1pips=0.01円)で利益を確定しました(プラス5000円)。織り込んでいることは視野にはいっていたので、スムーズについて行くことができましたが、やはりどこまで引っ張るべきかが課題となっているかと思います。
8月13日(金)の少し横に動いたところでポンド円を5lotショート(売り)し、現在もホールドしています。8月4日に151.165円を付けているので、そのあたりを利益確定ポイントに据えています。
◆ 来週のトレード
ポンド円を売りでエントリーして越週。週末にかけて円が買われたのか、どの通貨ペアも下落しており、その反発を狙っていきたいと思っています。ドル円だと8月4日の安値1米ドル=108.722円、ユーロ円だと1ユーロ=128.000円あたりを目安にトレードしていこうと思います。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
物価に注目が詰まるなか、15日週に市場をざわつかせたのは米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)でした。予想81.2を大きく下回る70.2となり、コロナ禍後の2020年4月の71.0よりも下回りました。調査対象が速報値300人、確報値500人とブレやすい市場ではあるものの、最近のデルタ株の感染が再拡大やマスク着用のガイドラインの再導入など、若干の制限が復活していることが反映されているとあり、時間が経つにつれリスクオフへと傾くことになりました。地域は違うものの、8月31日に発表される米カンファレンスボード消費者信頼感指数は5000人の調査です。3月以降90から128.9まで数値を切り上げており、この結果が悪ければリスクオフが鮮明になる可能性がありそうです。
前週からの損益 プラス5000円
8月13日現在 122万972円
予想外の動き多く、様子見(専修大学 めがねちゃん)
こんにちは、めがねちゃんです!
今週(8月9日週)はチャートを見ているだけで取引はしませんでした。理由はいくつかあり、指標によるものなのか予想外の動きが多かったこと、自分が入れると思えるタイミングが少なかったこと、クロス円以外の通貨ペアを含め、相場を見ていたけれど、動きが微妙だったことです。
最近は方向感だけでなく、自分なりにチャートのパターンやプライスアクションを見ているからか、利益確定や損切で大きく逃げることはないですが、自分が「不安だな」と思う場面でエントリーすることができなくなってきました。
以前は「これ勉強した奴だ! エントリーしてみよう!」となっていたのですが、自分が何を基準に選んでいるのか、わからなくなったため、いったん整理することにしました。
大まかですが、私はチャートパターンや特定のプライスアクション、トレンドの方向が決まっている時が得意で、指標トレードや短期取引、レンジトレードが不得意な傾向があったので、それを踏まえてチャートを見てみると、もうそろそろ動きそうかな? という通貨ペアがいくつかあったので、それを重点的に来週は見ていきたいです。
また、不得意な相場で思考が精神に影響されていると思うのですが、得意相場では「今のトレンドの方向は○○だから、ここら辺(水平やサポートライン、レジスタンスライン)で一たん反応しそう」「もしここで止まったら、一たんポジション決済して様子を見よう、そのままブレイクしたら持ち続けよう」と考えることはできるのですが、レンジ相場だとどうしても直近の動きばかり見てギャンブルトレードしがちなので、きちんと今の動きと予測できる流れをいくつか考えたうえで冷静に相場と向き合っていきたいです。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
投資において「何をやっているかわからない」ことは大きなリスクだとウォーレン・バフェット氏などの著名投資家が言葉を残しています。毎回、気づきが素晴らしいですね。
さて、レンジ相場が苦手ということですが、そのレンジにある間の大きな材料に着目してみてはいかがでしょうか。その材料よりも、大きなニュースや経済指標が出ればレンジブレイクすると考えることが一つの参考指標となるわけです。
今のドル円に当てはめてみると、FRB(米連邦準備制度理事会)要人がどんなにタカ派発言を行ってもパウエル議長の発言が変わらない限りは111円を上抜けそうにないな、と分析することができます。ドル円が110円を挟んだレンジ相場を継続するかどうかは、8月26~28日の米ジャクソンホール経済シンポジウムでのパウエル議長の発言に注目してみてはいかがでしょうか。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
8月13日現在 120万4585円
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/