コロナ禍が若い女性の東京集中を進めた
人口減少だけでなく、高齢者とコロナ自粛、地方経済の疲弊、東京都の人口減少など、広く問題を設定している。その中に、こんなクイズがあった。
「コロナ禍が地方消滅のスピードを速めるのは、若い□□の東京集中を促したから」
A 女性 B 男性
答えはAの「女性」だ。2020年の東京都は感染が拡大した5月以降、6月を除いて12月までの計7カ月にわたり転出超過が続いた。河合さんは、これを男女別にすると、東京都と地方との関係が鮮明になると指摘する。
最初の緊急事態宣言が発出された4月の東京都への転入超過数は、女性が男性の3.5倍にも上るというのだ。前年同月比でみると男性は4892人から1001人へ80%減だったのに対して、女性は8181人から3531人へ57%減にとどまったためだ。
男女で開きがあるのは、東京都への転入者の大半が20代前半だからだ、と説明する。男性は女性に比べて地元で正規雇用の仕事が見つけやすく、女性は地元に希望する就職先がないために上京するケースが少なくない。
7~12月は男女とも転出超過となったが、どの月も男性の数字が大きい。地方経済の落ち込みが激しかったため、地方に戻ったら余計に仕事を見つけづらく、東京にとどまった女性が多い、と河合さんは分析している。コロナ禍はむしろ若い女性の東京集中を促したというのだ。
コロナ禍で地方移住の関心は高まった。しかし、実際に踏み切る人は限定的で、多くの人は地方ではなく、東京圏の中で引っ越していた。2020年の東京都からの転出者は、40万1805人と全国トップだった。行き先は埼玉県へ7万4659人、神奈川県へ9万1669人、千葉県へ5万6186人で、多くは隣接県への転出だったことがわかる。