今週(2021年8月9日週)、異なるブロックチェーンの相互運用を実現するプロジェクト「Poly Network」で、およそ6億1100万ドル(約670億円)相当の暗号資産が不正流出した。その一方で、NFT(非代替性トークン)バブルも再来しており、暗号通貨市場は揺れている。
そうしたなか、プラスを確保したのが職業能力開発総合大学校のさっちん。購入したビットコインの約6割を売却して利益を得た。残りは保有して越週した。
明治大学の城正人さんは静観。同志社大学のしがないトレーダーさんはイーサリアム(ETH)に注目するも、取引は見送り。高騰したリップル(XRP)にも関心を寄せる。
DeFi ハッキングも市場は衰えず(明治大学 城正人さん)
◆ 今週(8月9日週)のニュース
今週の大きなニュースとしては、Poly networkへのハッキングで多額の暗号資産が盗まれたことでしょう。これまで暗号通貨界隈で盗まれた金額としては最高額である6億ドル分が盗まれました。このニュースを受けて、6億ドル分の売り圧力が出現することとなり、堅調に推移してきた相場が一たん横バイ、あるいは下落局面に転換するかと、私は考えていました。
しかし、ハッカー側は盗みとった暗号資産を返金することを表明して、順次Poly networkの運営との共同管理ウォレットに返金を行っています。したがって売り圧力はほぼ出ることはなく、市場に対し大きな影響を与えることはありませんでした。
また、今回の攻撃はPoly Networkのプログラムの脆弱性をつかれたようで、DeFi(分散型金融)そのものへの影響は軽微だと思われます。
そもそも自己責任で利用する市場ですし、プログラムのセキュリティ監査を行うことによってによってある程度そういったリスクは軽減することが可能です。
このニュースを受けて、実際に、特にクロスチェーン関連銘柄もDeFi関連銘柄も下落することはありませんでしたから、個別の脆弱性を攻撃された事象として認識されており、今後も暗号通貨自体に打撃を与えるものではないと思われます。
◆ 今週の取引
今週、ハッキングによる需給の悪化から下落基調に転換すると思われましたが、まさに無風。NFT(非代替性トークン)バブルも再来しており、まだまだ強い暗号通貨市場が予想されます。近いうちにNFT関連の銘柄をひとつ投資してみたいなと考えていますが、良いポイントで拾うため今後も見極めたいと思います。
◆ まとめ
今回はPoly Networkのハッキングについてまとめてみました。発覚後、すぐに盗まれた資産の一部は凍結され動かせない状況になり、すべての資産の行方を追跡することができました。不幸中の幸いというべきか、大事には至りませんでしたから、これ以上この問題が注目されることはないかもしれません。
しかし、そもそものコードに問題があった点は問題ではあります。こちらは今後DeFiにおけるセキュリティ監査体制の強化が求められるポイントでしょう。また、戻ってきたから良いものの、6億ドルという巨額のお金を危うく消失させてしまう可能性もあったわけです。DeFiはあくまで「自己責任」という点をきちんと理解したうえで利用したいものです。
取引なし
含み益は、プラス606円。
総資産残高は、1万5313円 (イーサリアム0.035ETH、プラス2755円)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
過去最大の資産流出被害でしたが、流出先のアドレスがすぐに特定されたこと、テザー社によるUSDT(テザー=米ドルと等価値になる暗号通貨)の凍結、そして有志で問題解決に向けて動いた人が多かったことから、相場の下落もわずか半日で済むこととなりました。
この時の値動きを見ると、市場のメインプレイヤーはこういった判断を瞬時に行うことができる層が引っ張っているのだとわかります。価格的に大きな影響はありませんでしたが、技術面では厳しく、こういったリスクを最小限に抑えることのできるDeFiの運用設計が求められると感じた事件でした。
DeFiで運用されている規模は1年間で15倍に増加し、8兆円を超えています。これは仮想通貨市場の4%程度を占めていることになり、今後も拡大が続くことが予想されます。
前週からの損益 プラス606円
8月13日現在 1万5313円