国内の銀行の平均年収トップは三井住友銀行の842万2000円。銀行全体の平均年間給与は606万6000円......。そして、銀行間の格差がどんどん広がっている。
東京商工リサーチは2021年8月11日、「国内銀行78行の2021年3月期決算の平均年間給与調査」を発表。21年3月期の有価証券報告書で、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した78行(大手行6行、地方銀行45行、第二地銀27行)を対象に分析した。
大手銀行と地銀・第二地銀の格差が広がる
国内に78ある銀行の2021年3月期の平均年間給与(基本給+賞与・基準外賃金)は606万6000円だった。前年から7000円減少し、2年連続で前年を下回った。中央値は608万4000円で、こちらも前年より2万4000円減少し、銀行業界の長期低落傾向を表した。
平均給与トップは三井住友銀行(842万2000円)で、3年ぶりにトップに返り咲いた。2位はあおぞら銀行で808万9000円、3位は前年トップだった東京スター銀行で801万1000円と続いた。
3大メガバンクはいずれも上位10行に入ったが、三井住友銀行を除く2行は前年を下回り、メガバンクでも明暗を分けた。
業態別では、大手6行が767万3000円(前年比4万8000円増)で、3年連続で増加した。一方、地方銀行45行は620万円(同2000円減)で2年ぶり、第二地銀27行は548万5000円(同2万7000円減)で2年連続で、それぞれ減少した。 大手行と比べると、地方銀行が147万3000円(前年142万3000円)、第二地銀が218万8000円(同211万3000円)と、給与格差が拡大した。また、地方銀行と第二地銀との間でも、地方銀行が71万5000円(同69万円)も多く、ここでも差が広がっている。
減少額トップは東京スター銀行の31万円ダウン
個別の銀行の増加額トップは、南都銀行(奈良市)の20万7000円で、前年より20万7000円増(656万5000円から677万2000円)。次いで、琉球銀行(那覇市)の18万1000円増(592万6000円から610万7000円)、スルガ銀行(静岡県沼津市)の17万8000円増(694万7000円から712万5000円)、高知銀行(高知市、第二地銀)の16万6000円増(524万円から540万6000 円)、大分銀行(大分市)の16万1000円増(616万2000円から632万3000円)の順だった。
一方、最も減少したのは、前年トップだった東京スター銀行(東京都港区、第二地銀)の31万円減(832万1000円から801万1000円)。以下、福岡中央銀行(福岡市、第二地銀)25万円減(538万8000円から513万8000円)、みちのく銀行(青森市)24万7000円減(527万8000円から503万1000円)などと続く。
東京商工リサーチでは、
「銀行は、コロナ禍で中小・零細企業への支援策を通じて存在感を高めている。しかし、依然として厳しい経営環境に変わりはなく、収益格差が拡大している。今後、銀行の給与動向は、行員への待遇改善か、先を見越しての給与抑制か、経営体力に応じて格差が広がるだろう」
と分析している。
(福田和郎)