ナイナイ岡村風俗発言の波紋
2020年4月、「コロナが明けたら美人さんが風俗嬢やります」というナインティナイン岡村隆史さんのラジオでの発言が問題になった件について、1章を割いて検証している。藤田さんはすぐに「Yahoo!ニュース」に撤回を求める記事を発表した。ラジオの公式ホームページと岡村さんの所属事務所の公式ホームページに謝罪文が掲載され、翌週の放送でも本人から改めてお詫びが語られた。
しかし、藤田さんら批判者のもとに非難や罵詈雑言が殺到したという。藤田さんは「セックスワークは女性のセーフティーネットではない」として、厳しく批判している。 「若い女性が困窮すればするほど儲かるのが性産業だ。援助交際やパパ活などに足を踏み入れる10~20代の女性も増えているが、マイルドな言葉に置き換えても売春、性売買、人身取引であることに変わりはない」
風俗業界を辞めて、人生の再スタートを決意した女性たちや支援についても書いている。
本書の後半では、「未曽有の貧困危機から命と暮らしを守る」として支援・相談窓口を数多く紹介している。「いのちの電話」、「よりそいホットライン」、「新型コロナウイルス感染症関連 SNS心の相談」、「新型コロナこころの健康相談電話」などがある。
また、家賃が払えなくても住み続けられる方法として、自治体の「住居確保給付金」か「生活福祉資金の特例貸付の緊急小口資金」の申請を勧めている。それぞれ相談コールセンターもある。
このほかにも休業支援金のもらい方、フードバンクの利用法、生活保護の申請法と各地の相談窓口を掲載している。
藤田さんは最後に「誰一人取り残さない社会を実現する」として、いくつか提言している。現物支給で国民の命を早急に救う、正規公務員を増やす、富裕層から臨時徴税する、生活保護を受けやすくする、教育の無償化を目指す、などだ。
現に生活に困っている人たちに読んでもらいたい本だ。相談窓口の電話番号は本書に記載されている。(渡辺淳悦)
「コロナ貧困」
藤田孝典著
毎日新聞出版
1320円