DVでも「子どもがいるから離れられない」
DVの種類別では、「心理的虐待」が最も多く、女性の22.0%、男性の11.7%にのぼった。次いで「身体的暴行」が女性の16.3%、男性の10.6%、「ネグレクト(育児放棄)」が女性の1.5%、男性の0.5%、性的虐待が女性の0.6%、男性の0.5%から回答があった。
こうした配偶者からのDVに対して、「相談したか」訊ねたところ、女性の41.6%、男性の57.1%が「誰にも相談していない」と回答した。その理由として、「相談するほどのことではないと思った」が女性の45.7%、男性の50.4%を占めた。
配偶者からDVを受けたことで、「相手と別れたか」と質問したところ、582人中15%が別れた (女性は363人中16.3%、男性は219人中14.2%)と回答した。配偶者からのDV被害に対しても、80%以上が相手との関係を継続している。
別れなかった理由では、「子どもがいるから、子どものことを考えたから」が女性160人中71.3%、男性52人中61.5%を占めた。次いで、「経済的な不安があった」が女性の52.5%、男性5.8%となった。
配偶者によるDVと同様に増加しているのが、性暴力・性犯罪だ。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国の相談件数の推移によると、2020年度の相談件数は5万1141件と19年度の4万1510件から23.2%も増加している=グラフ2参照。
DVと同様に性暴力・性犯罪の相談件数は2020年6月から急増しており、コロナ禍による環境の変化が一因となっていることが疑われる。
性暴力・性犯罪の被害では、女性1803人中、「無理やりに性交等をされた被害経験」が6.9%となっている。このうち、1人からは5.3%、2人以上が1.6%で、女性の約14人に1人は無理やりに性交被害に遭った経験がある。
加害者との関係(複数回答)では、女性125人では、交際相手・元交際相手が31.2%、配偶者が17.6%、元配偶者が12.9%、職場・アルバイト先の関係者が8.0%、まったく知らない人が11.2%となっている。
また、無理やりに性交等をされた被害の相談では、58.4%が「相談しなかった」と回答している。(鷲尾香一)