消えるコメ先物取引 「聖域を守れ」と農水省に「圧力」をかけた? 本上場反対派の顔ぶれ

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看板商品を失った「堂島取引所」の将来設計

   コメの価格決定のありかた、さらに堂島商取の先行きはどうだろう――。自民党の調査会は先物反対を申し入れた際、JAグループも参加したコメの現物取引市場の創設の検討も求めた。それも含め、先物市場が消滅したこの先、どのような価格決定の仕組みになっていくのか、まだ先は見えない。

   他方、堂島商取は取引の9割を占めるコメ先物がなくなり、市場としての存亡の瀬戸際と思いきや、案外余裕を見せる。2021年3月期の収入は4億円、うち半分は保有不動産の賃貸収入が占め、コメ先物がなくなっても「経費も減るので問題ない」(同社)というのも強がりではないだろう。

   何よりの「強み」が、SBIホールディングスという後ろ盾を得たことだ。北尾吉孝社長率いる金融グループで、最近では、経営不振の地銀に出資して独自の地銀グループを組織し、経営立て直し支援と新たな金融サービスの展開を目指す動きが注目されている。

   堂島商取は21年4月に会員組織から株式会社へ移行した。この際、SBIグループが20億円を出資し、3割超の議決権を握った。中塚氏もSBIから送り込まれており、北尾社長の「総合取引所化」の構想に沿って、8月10日付で社名も「大阪」「商品」を抜いて「堂島取引所」になった。

   今後、22年3月期中に金先物の取引を始め、他の貴金属や金融派生商品(デリバティブ)など品揃えを広げていく方針で、さらに温暖化対策に絡む炭素の排出権取引にも意欲を見せるなど、商品を増やしていく考えだ。

   とはいえ、「堂島=コメ先物」のブランドにかかわる看板商品を失い、SBIの思惑どおりに進むかは見通せない。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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