10年後に何が起きるか誰もわからない
緊急性の観点から治験(テスト)期間が短縮され、「科学の視点から行けば、本来20年かけてもおかしくないくらいの検証を思い切りすっ飛ばしている」「新規の大規模な社会的人体実験」とまで言い切っている。
ここまで読み、すでに1回接種を受けている評者は青くなったが、その後を読み、胸をなでおろした。2020年8月頃からいろいろなリポートがあがり、効果が実証され、峰さんも「楽観的になりつつある面もあります」と話している。
また、日本でも使われているファイザーのワクチンの試験について詳しく紹介していて、安心した。2020年7月から、米国、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ドイツなど複数国の154施設で実施。18歳から85歳の約4万人を「ワクチンあり」「ワクチンなし」の半分に分けて、さらに自然に感染が生じるまで待って、実際にワクチンがどの程度効くのかを調べた。最終的にリスク比95%減の有効率はしっかりとしたもので、安全性についても重大な懸念は認められなかったという。
その一方で、普通だったらワクチンの治験が停止するぐらいの有害事象が起きていたことや、10年後に何が起きるか誰もわからないと指摘している。
「すべての情報をディスクロージャー(公開)すると、おそらく打つ人は減ると思っています」とも言い、倫理的問題は別として、先行して接種した国の結果を見たほうがいいというのは事実、と話している。
日本はワクチン接種が遅れたと批判されているが、結果的に様子見のタイムラグが生じたわけだ。
峰さんは伝統的な成分ワクチンの開発がゆっくりとだが国内で進んでいることに期待している。塩野義製薬のものは臨床試験中で、年度内の実用化を目指している。