水産業界の「下町ロケット」を目指して
山田水産は1963年、父・陽一氏が創業した。その背中を見ていた山田さんは、幼少期から家業を意識していたと振り返る。そして2020年6月、46歳で社長就任。事業承継が課題となる昨今だが、もともと「社長になりたかった」そうだ。
経営するうえでは、メイド・イン・ジャパンの精神を重んじている。目標とするのは、ドラマ化された池井戸潤さんの小説「下町ロケット」の舞台、精密機器メーカーの佃製作所。山田水産と同じ、中小企業の2代目経営者が、世界的大企業に立ち向かうストーリーだ。
これまでコストダウンのために海外生産を進めてきた食品加工各社の戦略は、コロナ禍によって見直しを余儀なくされた。一方で日本人アスリートのように、チャレンジ精神と、その活躍次第で世界進出する土壌は整いつつある。
「国内で作れる会社が生き残る」。そう語る山田さんは「いつか『TERIYAKI』のように『KABAYAKI』も英語にしたい」と期待を込めた。
中小企業の2代目は、「先行き不透明なこの時代」の、さらに先を見ている。