コロナ禍で言いづらい「エッジの効いたメッセージ」を
「ものづくり」といえば、自動車などの工業製品がイメージされ、食品はあまり注目されない現状がある。また、水産業界に目が向けられても、大手の缶詰メーカーは話題にあがるが、ウナギの蒲焼などを手掛ける山田水産のような中小企業の事業活動は知られていない。
そんな中で、山田さんには
「長靴を履いて頑張っている人たちが、日本の魚文化を支えている」
と、もどかしい気持ちがあった。
コロナ禍で気がふさぐ昨今、なんとなく思いが抑え込まれた空気の中で、大手企業だとなかなか言いづらい「エッジの効いたメッセージ」を、中小企業だからこそ伝えられると、日経への広告出稿を決めた。
今夏のタイミングでの掲載には、前回の東京五輪(1964年)を境に高度経済成長を迎えたことと、これからの日本経済への期待が重ねられている。
―― 自社のみならず、水産加工の業界全体を活性化させる意図が込められているのか。そう記者がたずねると、
「日本の水産加工、とくに調味加工品の製造・管理は、他国に比べて優れている」
と返ってきた。
「魚を焼いたり、フライにしたりした食品を冷凍する技術は、山田水産に限らず、日本の魚屋さんは断トツ。オリンピック(種目)だったら、どこの国も勝てないです」
魚を食べる日本の食文化に親しみ、支え、工夫を重ねて進歩してきた食品加工の技術が、働く日本人の「原動力」の一端を担ってきたというわけだ。