国会や省庁幹部にも切り込む「剛腕」の川本裕子総裁
朝日新聞(8月10日付)「人事院、霞が関に働き方改革促す」によると、この画期的な改革は、「コンサルタント出身で(今年)6月に就任した川本裕子総裁の存在」が大きいという。
川本裕子氏は、外資企業マッキンゼーの出身で、早稲田大学大学院教授。現在、ソフトバンクとパナソニックの社外取締役も務めている。朝日新聞によると、霞が関の「働き方改革」のために、今回の提言で、これまでアンタッチャブルだった「国家公務員の長時間労働の一因である国会対応の改善に初めて踏み込んだ」という。朝日新聞がこう続ける。
「人事院はこれまで言及を避けてきた国会の問題や各省庁幹部の人事管理の力についても、あえて踏み込んだ。省庁幹部には深夜まで働き、土日出勤をいとわない人が少なくない。働き方改革が実際にどこまで進むかは、各省庁の取り組みと人事院の指導力にかかっている。『幹部の方々は政策に関心を持っても、長時間労働への配慮がやや欠ける。超過勤務はきちんとルールがあるので、まずルールを守っていただく』。川本氏はそう宣言した」
というのだ。
今回の人事院の取り組みについて、インターネット上では、不妊治療の経験者たちからは、羨ましがる声とともに、制度がうまくいくかどうか危ぶむ意見が寄せられている。
「年間10日...。それでも今月不妊治療が長引いているため、上司の理解が得られなく退職せざるを得なくなった私にとっては羨ましいです」
「先日も2日前に採卵が決まり、有給を取りました。理由は、生理前の体調不良...と。治療のことは言えていません。いろいろ思っているおばちゃんたちはいますが。全員に理解してもらうのは難しいなあ、と痛感しています」
「制度自体を否定するつもりはありません。ただ、あえて『不妊治療で休みます』という理由限定で休みを取るのではなく、『有給で休みます』で理由を言わなくても休ませてもらえる環境が一番欲しいなあ、と思います。不妊治療は今日休んで明日も、場合によっては明後日も、なんてことが続くから、理由を言わないと不審がられるのですが。私も治療経験者ですが、実父の病院の付き添い、とか言って時間休をもらっていた。同僚の女性で気付いていた人はいたかも」
「たぶん、人事院は自己注射(編集部注:注射によって排卵を誘発する。頻繁に通院できない人が自分で注射を打つこと)を前提に、診察で時間休暇、採卵で半日とか取得できるようにするのではないか。採卵のたびに、ホルモン注射で連続10日休んですべて有給では、国民が納得しないでしょう。年間10日程度の特別休暇なら、上司を納得させやすいし、普通の有給も治療のためと申告しやすくなるといいですね。フルタイムで働きながら自己注射をやり、ホルモン周期で休みの日に採卵日を設定していた10年前の私にしてみれば、人事院が積極的に不妊治療を後押ししているだけ、すごい進歩だと思う。体外受精のスケジュールが決まったら、早めに上司に相談して仕事とのバランスを取れるよう配慮するよう促してもらえるともっといいと思います」