日本電産が鴻海と合弁設立を検討 永守会長が掲げる売上高「10兆円」企業へEVシフト鮮明

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「EVに勝負をかける」と宣言

   そこで日本電産の経営計画だが、すでに中国にeアクスル工場を設け、広州汽車集団や吉利汽車に供給を始めているが、25年度にeアクスル280万台分の出荷を目指すとした。これを含む自動車向けの車載事業全体の売上高を20年度の約3.6倍の1兆3000億円に引き上げ、主力事業に育てる。eアクスルはうち3000億円程度を占める見通しという。

   このほか、既存事業の売り上げを伸ばすほか、M&A(企業の買収、合併)にも力を入れるとして、25年度までの5年間で設備投資と合わせて計1兆円を投じることも盛り込んだ。

   「eアクスル」の強化では鴻海との協力がポイントになる。すでにその共同開発に取り組んでいて、2022年中に合弁会社を設立し、生産や販売面でも協業を目指すことを、経営計画発表の中で表明した。

   鴻海は20年10月、EV用車台(プラットフォーム)生産に乗り出す方針を表明しており、かねてからEV参入がうわさされる米アップルなどの動きをにらんだものとして、注目されている。日本電産としては、その鴻海といち早く組むことで、モーター供給先として取り込む狙いがある。

   日本電産といえばパソコン普及の過程でハードディスクドライブ(HDD)用モーターの需要を獲得して成長した成功体験がある。今回の計画の目標年度となる25年ごろは、EV市場の拡大が一段と加速する時期とみられ、EVに勝負をかけることを宣言したということになる。

   計画の実行は、日産自動車からヘッドハンティングされる形で20年に就任した関潤社長(21年に最高経営責任者=CEO兼務)が担う。ポスト永守時代をにらんで、まさに手腕が試される。(ジャーナリスト 済田経夫)

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