2020年度の「孤独死」は新型コロナウイルス感染拡大による大きな影響はなかったものの、1000人以上の孤独死が発生したことが、日本少額短期保険協会の「孤独死現状レポート」で明らかになった。
このレポートでは、孤独死を「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った死亡事例」と定義しており、2020年度は男性916人、女性179人の計1095人の孤独死が発生し、死亡時の平均年齢は男性62.7歳、女性61.9歳、平均62.6歳だった。
孤独死の発見は男女とも平均17日
2020年度は、孤独死の発見までの日数は男女とも平均17日だった。これを発見のきっかけで見ると、音信不通・訪問が487人で67.2%を占め、次いで異臭・居室の異常が160人で22.0%となっている。
発見者は親族が306人で40.6%、友人知人が136人で18.0%と近親者のよる発見が58.6%を占め、不動産管理会社の109人で14.5%、福祉関係の153人で20.3%、警察の30人で4.0%と職業に関係した発見者38.8%を上回っている。
また、孤独死の死因では男性62人、女性11人の計73人が自殺によるものだった。
2015年4月から2021年3月まで6年度の孤独死の累積のデータでは、男性4614人、女性929人の合計5543人となっており、死亡時の平均年齢は男性61.6歳、女性60.7歳、平均で61.6歳だった。20年度(単年度)とみると、孤独死した人はこの6年で1歳程度高年齢化したことがわかる。
孤独死というと、「独居老人」をイメージする人も多いだろうが、65歳未満の割合は男性で51.9%、女性で52.4%、平均で52.0%と半数以上が65歳未満の孤独死となっている。特に、50代までの現役世代が40%を占めている=上表参照。
死因は全体の65.6%(3518人)を病死が占めており、男性67.8%、女性63.4%、次いで、不明が22.2%(1193人)で男性23.0%、女性20.9%、自殺が10.9%(579人)で男性8.1% 女性13.0%となっている。
自殺による孤独死は社会的にも大きな問題となっているが、全国民の死因のうち自殺の割合は1.4%であることから、孤独死における自殺は8倍近いもので、特に女性は9倍を超えるものとなっている。
自殺による孤独死を年代別に見ると、30代までの自殺による孤独死が全国民の死因のおける自殺の割合を大きく上回っている。20代以下では死因における自殺の割合が13.8%に対して26.5%と倍以上であり、特に20代以下の女性は39.2%と3倍の割合となっている。同様に30代でも死因における自殺の割合12.6%に対して22.8%と高く、女性は25.4%と倍以上の割合を示している=グラフ参照。