「職場はママたちのサークルとは違う」
――しかし、投稿者の悩みは理解できるとしても、「全員敵に見える」という発言に関して、圧倒的に多くの人が「完全にアウト」「爆弾発言」と猛批判をしています。
川上さん「回答者の方々の指摘は、そのとおりだと思います。正しいか正しくないかではなく、必ずしも周囲が理解者ばかりではない環境の中で、反感を買うような言葉を発してしまうことは、不要なトラブルを招くことにつながります。仕事するうえで、不要な反感を買う言動はマイナスでしかありません。
職場はあくまで仕事をする場です。仕事をスムーズに遂行するためには、周囲と適切なコミュニケーションを取る必要があります。投稿者さんご自身の考えもあると思いますが、育休取得中に他の同僚たちが業務をカバーしてくれていたのだとしたら、『全員敵に見える』などという言葉は絶対に控えるべきひと言です」
――投稿者の発言に同期の人が「フォローしてもらっていたのだから、そういう考え方はやめたほうがいいよ」ときつめにアドバイスしたことを、多くの人が称賛しています。「同期さんはとてもいい人」「意地悪な人なら告げ口されている」というわけです。
川上さん「投稿者さんの同期自身が不快に感じていたから出た言葉である可能性もないとは言い切れませんが、他の同僚たちから反感を買わないように、投稿者さんのためを思って言ってくれた可能性も大いにありますね。もし同期のひと言がなければ、周囲から反感を買う言葉を自らが発していたことに、投稿者さんはいまだに気づけていないかもしれません。
一方で、同期からそのような言葉が出るのは、投稿者さんが育休を取得していたあいだ、他の同僚たちの業務負担が増えていた証拠でもあると思います。それは投稿者さんの職場が、育休を取得すると周囲に迷惑がかかってしまう環境だということです。それでは、育休は取得しづらいはずです。今や男性の育休取得を促進しようと法改正がなされている状況の中で、投稿者さんの職場は時代の流れに対して、後手に回っているように感じます」
――投稿者は、追加コメントで「(自分は職場が)育休復帰者には不安を取り除けるような環境つくりをするのは当然と思っていた」とか「育休明けのビクビクしたママたちに少しずつの優しさを分けてほしい」とも述べています。それに対しても「職場はママたちのサークルとは違う」という批判が寄せられています。
川上さん「会社が育休取得しやすい環境をつくるという意味では、投稿者さんの主張はそのとおりだと思います。しかし、残念ながら現時点でそれができている職場は決して多くはありません。投稿者さんが『育休復帰者には不安を取り除けるような環境づくりをするのは当然と思っていた』と考えていることは、素晴らしいことだと思います。また、自らが育休復帰者となった今のお気持ちもまた自然な感情だと思います。しかし、あるべき理想と現実とのバランスを見極めて立ち居振る舞わなければ、周囲には一方的な価値観の押し付けだと受け止められてしまいかねません」