仕事では「社内信頼資産」を蓄えることが大切
J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の育休明けの女性が同期に友人に「疲れる。全員敵に見える」と発言した問題について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。
――今回の投稿と、回答者の反応を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。
川上敬太郎さん「投稿者さんのお気持ちもわかりますが、回答者の方々の厳しい指摘もまた、率直な反応なのだろうと感じます。
育休復帰後の仕事をスムーズに進めていくことはもちろん、また次の育休取得もありうることも視野に入れ、投稿者さんとしては周囲の感情に対するケアも仕事の一環だと捉えて、上手く立ち居振る舞うことが大切だと思います。周囲が協力的に動いてくれるかどうかは、投稿者さんのほうでコントロールできません。周囲の感情に配慮しながらうまく仕事を進めていくことで、『社内信頼資産』を蓄えるという観点が必要なのではないでしょうか」
――なるほど、「社内信頼資産」ですか。確かにそれはとても大切ですね。今回の論争の背景には「産休育休」をとった女性に対するフォローの問題があると思いますが、女性を支援する「しゅふJOB総研」の研究顧問をされていますが、今回のテーマに合うような調査をしたことがありますか。
川上さん「政府が育児休業期間を2年に延長することを検討していたころ(その後2年に延長されました)、仕事と家庭の両立を希望する主婦層の方々に延長について『育児休業期間延長についてどう思う?』と賛否を尋ねたことがあります。
延長について賛成する声のほうが多かったのですが、反対と回答した人も1割以上いました。その理由を尋ねると、最も多かったのが『時代の変化が早く、スキルが追い付かなくなる』、さらに『2年も仕事を離れるとポジションがなくなる』『会社に育休を歓迎しない雰囲気がある』と続きました。まさに、投稿者さんが悩まれていることと合致する内容だと思います。投稿者さんの悩みは、決して投稿者さんだけが特別なわけではなく、育休をめぐる悩みとして日本中の職場で起きていることなのだと思います」