●糖質制限しているから、血液サラサラ!
●朝ごはんは食べないほうが、血流にもいい
●毎日歩いているから、将来寝たきりになんてならない
「血管の病気」と聞くと、このようなことをイメージする人が多いのではないでしょうか?
じつはこれらの思い込みには、いろいろな「落とし穴」があるのです。さらに、「血管」の変化は、なかなか自覚症状が出ないものです。気づいたときには手遅れ...... なんてことにもなりかねません。
なんとなく知っている予防法や、流行りの健康法などに惑わされないように、心血管の病気を多数治療してきたエキスパートが、エビデンス付きの「血流力アップ法」をお伝えします。
「血管の専門医が教える 『血流』をよくする最高の習慣」(梅津拓史著)総合法令出版
ビールに関する間違った知識
「ビールは糖質のかたまりなのでしょうか? じつはほとんど体内に吸収されません」と、答えるのは医師で、本書の著者である梅津拓史さん。糖質にはさまざまな間違った解釈があると指摘します。
「たとえば、ビールは、糖質の塊のようにいわれていますが、ビールに含まれる糖質の大部分は体内で吸収できずに排出されるものなのです。じつは糖質には、体内で利用できるものとそうではないものがあります。体内で消化吸収して利用できるものを『利用可能炭水化物』といいます。でんぷん、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースなどが含まれます」
梅津さんは、そう言います。
「そもそも、糖質は『糖質=炭水化物-食物繊維』という計算で求められていました。しかし、人体が利用可能な糖質を直接測定したところ異なる数値になったのです。つまり、食物繊維以外に、体内で利用できない炭水化物があるということがわかったのです。文部科学省が調査・公表している『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』によると、日本のほとんどのビールは、体で利用可能な炭水化物を微量にしか含んでいません」
ところが、多くの企業では、糖質の量を、先ほどの計算式で求めて表示しています。日本のビールのラベルには「糖質約3.0グラム」という記載がありますが、そのうち人体が吸収・利用できる糖質は0.1グラム以下です。白ワインの1.1グラム、小ワインの0.2グラムよりも少ないことはほとんど知られていません。
「つまり、糖質オフのビール系飲料を選んでも、そもそも利用可能炭水化物が少ないので、意味がないかもしれないということです。だからといって、ガブガブ飲んでよいというわけではありません。人体が利用できない糖質にどんなリスクがあるかは、今のところ明らかになってはいないのです」
やはり、ビールはほどほどにしたほうがよさそうです。ただし、糖質制限中にむやみに我慢する必要はありません。