一橋大学のボンゴレさんはメキシコペソでスワップポイントをコツコツ積み立て。プラスを蓄え、Bグループのトップを走る。同志社大学のFOXさんは英ポンドを2度、買いでエントリー。ガッチリと利益を確定した。
一方、明治大学の佐藤諒さんは、勝率を上げるため「玉分割」作戦を実行したものの、不発に。週前半の負けを取り戻そうと後半戦はがんばったが、追い上げきれなかった。
慶応義塾大学の2Gさんはコロナ禍の2回目のワクチン接種で副反応が強く出てしまい、「チャートもまともに見ることができなかった」と、取引を見合わせ。早稲田大学の NAKAMURAさんは学業に専念するため、取引をお休みした。
ワクチン接種の副反応で動けず...(慶応義塾大学 2G)
FX大学対抗戦10週目。先週の損失を少しでもカバーできるように励みたいと考えていたが、今週(7月26日週)は結果的にトレードせずに終わった。
期末試験が終わって夏休みに突入したが、慶応義塾大学では現在2回目のワクチン接種が始まっている。私も今週に接種を受けたのだが、副反応が1回目よりも強く出てしまい、まともに動けなかった。分析はおろかチャートもまともに見ることができなかったので今週の取引は見送った。来週に備えて、今週の流れと今後の動きを整理する。
◆ 今週の流れ
今週は、ドル売りが優勢であったように感じる。米FOMC(米連邦公開市場委員会)が注目イベントであり、声明では急がない姿勢が示された。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の会見では、インフレ上昇は一時的との見方が維持された。また、デルタ株の感染拡大について警戒し、全般に慎重な姿勢が示された。
米株式市場には最高値更新などで高値警戒感がでていたが、FOMCを無難に通過したことで、大きな調整は回避されている。その後発表された米第2四半期の米GDP(国内総生産)速報値は事前予想を下回ったが、個人消費の好調に支えられて、4期連続の上昇となった。ただ、米国株の堅調な動きが市場全般にはリスク選好ムードを広げており、為替市場ではドル売りが優勢だった。
◆ 今後の動き
8月が始まり、重要指標が目白押しとなる。特に注目度が高いのは2日の米ISM製造業景況感指数(7月)、4日の同非製造業景況感指数(7月)、6日の米雇用統計(7月)だろう。
ISMは前回ともに強めの水準であり、発表後の米国内の景気回復は順調と見られる。しかし、変異株の新規感染者数がかなり増えてきており、景気への悪影響が懸念される。
最も注目度が高い雇用統計だが、こちらも高水準が期待される。前回の計測期間終了後となる6月15日に米国内で最大規模のニューヨーク州とカリフォルニア州の二つの州において行動制限が解除されたことから、雇用が大きく伸び、同時に失業率も低下していると期待できる。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
ドル円が弱含む展開となっていますが、この背景は中国株の下落に伴うリバランスがあるのではないかと考えています。アリババやテンセントなど、時価総額が何十兆円もあるような米国市場に上場している企業が、ネットビジネスでの独占事業の排除や個人情報の保護を規制の対象となったことが嫌気されています。また、巨大化したIT企業をけん制する意図もあるのではないかと言われています。この中国当局の動きから、運用対象から外さざるを得ない機関投資家もいるようで、それらの資金の一部が米10年債に流れ込み利回りの低下へとつながっているのではないでしょうか。
株式市場内でのリバランスもあるため、相場は急落とはなっていないものの、材料がない中での債券利回りの低下には、こういった大きな資金流入がありそうです。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月30日現在 94万4400円
「玉分割」作戦も惨敗......(明治大学 佐藤諒さん)
先週(7月19日週)から勝率を上げるため「玉分割してナンピンや追加」できるようにする計画を実行しました。しかし、結果は惨敗でした。プラスして自分や「売り」の割合が多いようです。これが勝率にどのように関わってくるかはまだわかりませんが、週の後半に勝つことが多いです。
前半の負けを取り戻すため真剣にやっているのかもしれません。次から取引回数を少し減らし、選定の過程を増やしたいと思います。また大学のテスト週間のためトレードに割く時間が減ってしまうと思います。
◆ 今週の取引
1. AUD/JPY(ニュージーランド〈豪〉ドル)売り マイナス5000円
2. GBP/JPY(英ポンド円)買い マイナス2万円
3. GBP/JPY(英ポンド円)買い マイナス4万円
4. GBP/JPY(英ポンド円)売り マイナス3万円
5. GBP/JPY(英ポンド円)売り マイナス1万円
6. AUD/JPY(豪ドル円)売り プラス3万円
7. AUD/JPY(豪ドル円)売り プラス6万円
合計 マイナス1万5000円
取引1ではさっそく建玉を2回に分けたため、片方は利益、片方は損失となり、結果として微損失となりました。玉分割の効果がしっかり現れたと思います。しかし、取引2以降は玉分割により、最終的に建玉が大きくなり損失が大きくなってしまいました。
下図は2回目トレード時のGBP/JPY(英ポンド円)の30分足チャートです。
このトレードでは下位チャートで逆三尊が現れており、上値へのブレイクアウトを予想しエントリーしました。最近5分足を見てエントリーしていたので気づかなかったのですが、後から見れば決してエントリーすべき場所ではなかったように思えます。
これは下落トレンド時に買いエントリーしているので逆張りになりますが、逆張りするなら、もう少し底でエントリーすべきで、できなかった場合は見逃すべきだったと思います。また一時は利益が出ているので、撤退すべきでした。
逆張りは勝率を高め、順張りは利益額を高めることに気をつけてやりたいと思います。また、上位足チャートをチェックし方向性を確かめたいと思います。
トレードすればするほど安定して利益を上げることの難しさを痛感させられます。次回以降気合を入れて、すべての取引で勝つくらいの気持ちで挑みたいと思います。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
エントリーするポイントは悪くないですね。その後に利益も出ているため、損切りを引き上げるという対処をしてみてはいかがでしょうか。
特に、今のようなレンジぎみの相場では、取引回数も多くなりますし、資金管理の面でも有効です。逆にトレンド相場では、損切りを引き上げると、場合によってはポジションがなくなった後に大きく上昇してしまったということがあるため、難しいと感じます。
せっかくのプラスは、せめて建値で仕切り直すようにすると、勝率が安定するためメンタル的にも良く、運用のプラスになるのではないでしょうか。
前週からの損益 マイナス1万5000円
7月30日現在 100万円
メキシコペソのスワップポイントに笑顔!(一橋大学 ボンゴレさん)
今週は日記形式で日々の取引内容を綴ります。
7月26日(月)【スワップ損益 プラス480円】
メキシコペソは1メキシコペソ=5.7円で売りの指値注文をしているが、そこまで上がるまで待つか、こまめに売り注文と買い注文を繰り返すかで迷っている。平均建玉レートは1メキシコペソ=5.5円のため、5.5円台で決済を繰り返すのもよいかもしれないが、スワップポイントの積み立てを考えると長期的に持った方がよいとも考えている。
7月27日(火) 【スワップ損益 プラス400円】
取引なし。
7月28日(水) 【スワップ損益 プラス1440円】
中国当局が一部産業に対して規制を強化し、中国との関連の強いオセアニア通貨は中国リスクにさらされている。そのような状況下でニュージーランド(NZ)ドルは76円台前半を推移していたので、1NZドル=76円で指値注文をした。さらなる下落リスクがあるので低めに設定している。
7月29日(木) 【スワップ損益 プラス400円】
昨日注文したNZドルはまだ約定されていない。1NZドル=76.1円を切ることはあったが、76.0円までは下がらなかった。それどころか76.5円近くまで上昇したので、今週中に76円で買うのは厳しいと思う。指値注文の時はあまりキリの良い数字ではないほうが良いのかもしれないと思い始めてきた。
7月30日(金) 【スワップ損益 プラス480円】
NZドルの指値を1NZドル=76.2円に変更した。76円台後半を推移するようになったので来週また変更するかもしれない。ひとまず中国リスクの動向に注目していきたい。メキシコペソはアドバイスをいただいたとおり、スワップポイントを積み立てていくつもりだ。
今週はスワップ損益プラス3200円という結果でした。反省点は下がったときに買いたいと思うあまりに低い指値で注文したことで、約定されなかったことです。保有している通貨ペアには慣れてきたので、夏休み中はもう少し活発に取引できたらと思っています。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
メキシコぺソのスワップポイント運用で収益を上げるという学生対抗戦始まって以来となる展開に、非常に興味深いところです。さて、安定した値動きを続けるメキシコペソはFX会社のスワップポイントが引き上がってきており、ボンゴレさんには追い風でしょう。
メキシコペソの上昇があれば、一気に資産が拡大しそうに思えますが、メキシコ中央銀行の声明文を見るとFRB(米連邦準備制度理事会)の年内テーパリング(量的緩和の縮小)開始を見越したメキシコペソ安を防ぐための利上げだった可能性も考えられます。
8月12日の金融政策発表では大きな変化がないように思えますが、ここでインフレ懸念の文言があれば、今後の利上げの思惑から上昇することが考えられます。
前週からの損益 プラス3200円
7月30日現在 111万4180円
神奈川県出身。
ポンド円でガッチリ!(同志社大学 FOXさん)
今週(7月26日週)は、しっかりと相場に向き合う時間ができて、とても楽しい1週間だった。
◆ ファンダメンタル
今週(7月26日週)は通貨ペアの値動きを見てみると、ドル、円が弱い展開。そして1週間を通して見てみると、ドルが弱い展開となった。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では発表前の声明文から若干のタカ派が見られて、ドルが上昇したが、すぐ戻した。そしてFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の相変わらずのハト派でまた下がる展開となった。長期的にはテーパリング(量的緩和の縮小)や利上げをする展開となるので強いと思うのだが、その情報はもうマーケットに織り込まれているように気もする。今後の展開に注目です。
◆ テクニカルでのエントリー
「今のところ勝率100%」とうたっていた取引で、今週は初めて損切りをくらった。しかし結果としては、相場に向き合えた分思考の質は深まり、手法といえどもたくさんの要因があってのエントリーなのでしっかり考えることは負けたとしても次につながる取引となる。
26日(月)は相場を見られなかった。ポンドドル相場を横目に、29日(木)にポンド円を152.98円でロング(買い)、153.04円で利益を確定。30日(金)は、我ながらいいトレードができ、1ポンド=152.95円でエントリー、153.07円で利益を確定した。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
英国では7月19日にデルタ株の感染拡大にもかかわらずロックダウン解除を実施していました。これが嫌気となったものの、その後はなぜか感染拡大ペースが鈍化しており、こうなるとポンドも買い戻さざるを得ない動きとなっています。著名な学者のデルタ株感染がピークアウトしたとのコメントもあるせいか、楽観的な見方が広がっているようで、主要通貨の中でポンドとニュージーランド(NZ)ドルが強い動きとなっています。
投機筋中心にポンド買いの再構築が促される可能性も指摘されており、断続的な買いが入っている可能性も考えられます。なお、7月の英非製造業PMI確報値は59.6と速報値の57.8から大幅に上方修正されており、ポンドには追い風が吹いているといえます。
前週からの損益 プラス1万8000円
7月30日現在 108万2040円
福岡県出身。
◆ 学業に専念するため、取引をお休みしました(早稲田大学 NAKAMURA)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月30日現在 96万1171円
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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