国の2020年度一般会計予算のうち、年度内に消化できなかった「繰越金」が過去最大の30兆7804億円に達したことがわかった。これまでの最大は、東日本大震災後の2012年度の7兆6111億円で、じつに4倍に膨らんだ形だ。
麻生太郎財務相は21年7月30日の閣議後会見で、繰越金の多くはすでに支出目的が決まっており、「使い残したわけじゃない」と強調した。
しかし、20年度予算の歳出総額175兆円のうち、2割近くを繰り越すことになった結果に、専門家からは新型コロナウイルス対策を名目に、査定が甘いまま膨れ上がった予算編成の不備を指摘する声が出ている。
飲食店に支払う協力金も余って繰越金に......
繰越金のうち、最も多かったのはコロナ禍が直撃した企業の資金繰りを支援する実質無利子.無担保融資の予算で約6.4兆円。休業や時短要請に応じた飲食店に支払う協力金の原資となる地方創生臨時交付金は3.3兆円、観光支援事業「Go To トラベル」関連は1.3兆円、公共事業費も4.7兆円も余った。
国の予算は年度内に使い切ることが原則だ。消化できなかった場合は国庫に返納する必要があるが、自然災害などやむを得ない事情があれば、国会の議決を経たうえで翌年度に繰り越すことが認められている。
予算編成を取り仕切る財務省は、「融資や協力金の支払いが進まず、年度内に消化できないものが多かった」とし、今回は「やむを得ない事情に当たる」と釈明するが、それを額面どおりには受け取れない。
2020年度はコロナ対策のため計3度にわたって補正予算を編成。なかでも21年度当初予算と連動させた「15か月予算」と位置づけた3次補正が成立したのは1月末。すでに年度末に近づいており、3次補正で措置された歳出総額22兆円の大半は、鼻から21年度に繰り越すことが前提になっていた。