米国の謎のクラスター「7割以上がワクチン接種済み」
米国ではコロナ対策の先頭に立つ疾病対策センター(CDC)が、米マサチューセッツ州で発生したクラスターを調査したところ、感染が判明した469人のうち約7割がワクチン接種済みだった。このうち133人から採取した検体を調べたところ、9割がデルタ株だったという。
この米マサチューセッツ州のクラスターの調査から「ブレークスルー感染」と「デルタ株」との関連を米メディアが盛んに取り上げている。
CNN(7月30日付)「CDC shares 'pivotal discovery' on Covid-19 breakthrough infections that led to new mask guidance」(CDCは、新型コロナのブレークスルー感染に関する〈極めて重要な発見〉が新しいマスク着用ガイダンスを生み出したという)が、デルタ株の謎の性質を伝える。
ことの発端は、米マサチューセッツ州プロビンスタウンで起きたクラスターだった。7月4日のお祭り騒ぎがきっかけとなり、7月20日までに469人の感染が確認された。ところが、そのうち346人(74%)が完全に2回のワクチン接種を終えていた。さらに、このうち79%がデルタ株に感染していた。そして、明らかにワクチン接種を終えた人と、接種を終えていない人、あるいは受けたかどうか不明の人との間で、「ウイルス負荷」(編集部注:ウイルスの影響を受ける度合い)が類似していたというのだ。
つまり、デルタ株の場合、ワクチンを接種していても、接種していなくても、他の人にウイルスを感染させる「能力」はあまり変わらないということらしい。なぜブレークスルー感染が起こったかのメカニズムはCDC(米国疾病管理予防センター)もわからないという。
CNNはこう報じる。
「この新しい研究は、デルタ株が感染した場合、予防接種を受けた人と予防接種を受けていない人々に、同様の量のウイルスを産生したことを示している。予防接種を受けた人でもマスクを着用することを推奨する連邦ガイダンスの重要性を示している。予防接種を受けた人が、予防接種を受けていない人々にウイルスを広める危険性を持っているからだ。CDCのロシェル・ワレンスキー博士は『デルタ株の高いウイルス負荷は伝染のリスクの増加を示唆し、デルタに感染したワクチン接種者がウイルスを伝染させることができるという懸念を提起した』と声明で述べた」
ワレンスキー博士は、ワクチンを接種した者でもマスクを着用すべきだと勧告。「ワクチン接種者はマスクを外してもいい」とした、バイデン大統領の指示を撤回させるきっかけをつくった。
また、CDCの研究は、デルタ株は水痘とほぼ同じくらい伝染性(1人が5~9人に感染させる)であるとして、ワレンスキー博士は、
「それは私たちが知っている最も伝染性のウイルスの一つです。はしか、水痘などに匹敵します」
と述べたのだった。