求人情報サイト「バイトル」「はたらこねっと」などを展開するディップは、「ワンストップDX」をコンセプトとした、中小企業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を支援している。
ディップは、コロナ禍以前の2019年からDX事業を手掛ける。競合他社よりも一日の長がある同社の戦略を、執行役員DX事業本部本部長の三浦日出樹氏に聞いた。
「労働力の総合商社」への転換
「本格参入した2年前は、ほとんどの人はDXを『デラックス』と読んでいました」
そう振り返る三浦氏は、ディップがいち早くDX事業に参入した背景に、主軸である求人業界の変化を指摘する。慢性的な人手不足で活況だった求人サービスが、2018年ごろピークに。そこでディップは「人のマッチング」だけでなく、「労働力の総合商社」へと領域を広げ、新事業の責任者に三浦氏を招いた。
DXの導入によって、人間がやる必要が少ない、ルーティンワークなどを簡略化できる。人間の仕事をAI(人工知能)が奪うのではないか、との懸念も指摘されるが、三浦氏は「デジタルで労働力を提供することで、人がもっと人らしく、生き生きと働ける社会を作りたい。『人が働きやすい環境をデジタルが作る』ととらえれば、非常に社会的意義がある」と語る。
一方で、すべてをDXで解決しようとは思っていない。業務がスムーズになるのなら、あえて人力を加えるのも有効な手段だという。たとえば、アポ取りの電話などは、まだまだデジタル化が難しい。
「『電話する人がいない』っていうのが、中小企業の実態です。商談をして、売り上げをあげることが目的だとすれば、うちのインサイドセールスの電話営業部隊に、アポイント1件いくらで丸投げしても構いません。DX化はデジタルだけでは絶対に無理なんです」