懸念材料は「親子関係」?
東映アニメはどういう会社なのか、おさらいしておこう。始まりは1948年設立の「日本動画」。56年に東映傘下に入り、東映動画へ商号変更、98年に現商号になった。アニメ製作の草分け的存在で、67年に「魔法使いサリー」でテレビのカラー放映開始。75年にテレビアニメの海外販売を始めた。作品名を挙げ始めると、たいへんなスペースを使ってしまうのでやめておくが、東映アニメの歴史は日本のアニメの歴史と言っても過言ではないことに多くの人が賛同するだろう。
株式上場は2004年ジャスダックで、現在は東証JASDAQ(スタンダード)に属する。筆頭株主は連結親会社の東映で34.17%を保有、続いて2位テレビ朝日(20.00%)、3位バンダムナムコホールディングス(11.00%)、4位フジ・メディア・ホールディングス(10.25%)と大口取引先が並ぶ(いずれも2021年3月末現在)。
懸念材料は、むしろ、その「親子関係」かもしれない。じつは時価総額でみると「親子逆転」してしまっているのだ。7月末時点で親の東映2952億円に対し、子の東映アニメは6333億円に達し、2倍を超える水準だ。
親子上場、なかでも親会社のほうが市場の評価が低い場合はアクティビスト(もの言う株主)から「親会社に子会社株の売却を求める」といった攻勢の対象になりやすい。国内では日立製作所が次々と子会社株を手放して親子上場の解消にメドを付けたところだが、東映も親子上場について市場との対話を求められる可能性がありそうだ。
(ジャーナリスト 済田経夫)