西村悪代官「アメとムチ」政策の「アメ」だけが残り
ところがその後、西村大臣は「ムチ」の政策で「悪代官」の猛批判を浴びて、相次いで撤回に追い込まれ、結果的に「先払い」という「アメ」だけが残った。その「アメ」も混乱を招いて不評を買った。こんな状態で本当に「先払い」ができるのだろうか。
前回どころか前々回の分まで支払ってもらっていない飲食店の怒りを、時事通信(7月24日付)「協力金、本当に『先払い』? ちぐはぐ対応、飲食店憤り 東京」が、こう伝える。
「4度目の緊急事態宣言が出ている東京都内では、宣言が発令された7月12日以降、営業時間短縮要請などに応じる飲食店に対し、協力金を速やかに支給する『先払い』制度が導入された。ところが、この支給を急ぐあまり、5、6月分の申請受け付けが後回しになる事態が生じている。飲食店からは『子供だましだ』と怒りの声が上がっている」
というのだ。当然だろう。時事通信が続ける。
「先払い制度は、長引く休業や時短要請で苦境が続く飲食店への協力金支給が遅いとの批判を受け、今回の緊急事態宣言発令に先立ち政府が導入を決定。誓約書の提出を条件に先払い分として日額4万円を一律支給し、足りない場合は審査を経て追加支給する。速やかな支給により、要請を拒む飲食店をなくしていくのが狙いだ。
しかし、作業を優先するため、5月12日~6月20日分の申請開始日は当初予定していた7月15日から同26日に延期。6月21日~7月11日分については、いつから申請を受け付けるかさえ決まっておらず、逆転現象が生じた格好だ」
対応に追われる東京都では、「複数の協力金の申請期間が重なると、事業者側も混乱し、結果的に支給の遅れにつながる」と釈明した。これに対し、都の休業要請に応じている中野区の居酒屋経営者は時事通信の取材に、こう激怒した。
「これまでの協力金も出ていないのに、まるで子供だましではないか。酒を提供しているのに協力金を受け取っている店もある。矛盾を正してほしい」
と憤ったのだった。