目的を持って読むことの弊害
角田さんは、ルールに従おうとした時点でおもしろくないし、読んだ文章も内容も作者の思いも、すんなり入っていかないと言います。自分にとっての気持ちよさ、おもしろさの感覚で本と向き合うだけ。それが「バラエティ読み」の要点だと言います。
角田さんは、
「まず、著者や内容なんて気にせずに、カバーのデザインだけで気になるものを買えばいいと断言しておきます。新書は基本、カバーが決まっていますが、そういう場合はもちろん"タイトルに惹ひかれただけ"の『タイトル買い』だって構いません。つまり、目的を持って読まなくていいということです」
といいます。
「『こんなこと知りたい』『こんな物語が読みたい』という目的にしばられてしまうと、その目的にしか役に立たないでしょう。『〇〇を得るために役立つかどうか』という視点で読んでしまうので、それ以上のものを得ることも難しい。せいぜい1回読んだら終わりになりがちです」
筆者も「ジャケ買い」は推奨します。ジャケ買いする時には平積み、面陳置きの本は選びません。棚指しの1冊だけ置いてある本をインスピレーションで選びます。当然、当たり、ハズレがあります。最近は、10冊買えば9割がハズレのこともあります。まずは本を選ぶことそのものを、バラエティ感覚で楽しむことは大切です。
あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることを、お祈りしています。(尾藤克之)