ベルリンでGorillas配達員が山猫スト!
スタートアップの希望の星と目されていたGorillasでは今年2月、6月、そして7月と続けて従業員や配達員による「山猫ストライキ(労組を経由しない従業員の就業拒否)」や店舗の封鎖が複数回実施されています。
私が経験したように、配達員の多くはEU以外の国から来た若者たちです。彼らはドイツ語をほとんど話せないため、ドイツの労働市場で苦戦を強いられてきたと考えられます。ベルリンの法定最低賃金が9.60ユーロ(2021年7月1日から、約1200円)と定められているなか、Gorillasの配達員の時給は10.50ユーロ(約1300円)です。
そんな彼らが、Twitter上で「Gorillas Workers Collective(ゴリラ従業員共同体)」を組織し、迅速な給料の支払いや電動自転車の安全性、悪天候にも対応できるレインウェアなどを雇用主に要求しています。
そして消費者は、このような強硬手段に出るGorillasの従業員を概ね支持しています。つまり、Gorillasが雇用主として魅力的ではないということが、ブランドイメージを著しく低下させています。
ほんの少しの便利のために、誰かの生活を脅かすのは本望ではないのです。その誰かは、自宅まで来てくれる配達員であり、顔の見える彼らが搾取されている現実に消費者は無関心ではいられません。
利便性や価格という消費者が直接受け取るサービスだけではなく、企業活動が社会に与える影響や持続可能性が、サービスを選ぶポイントの一つになっていることを改めて突きつけている一件。Gorillasは雇用主としてどういう答えを出すのか、今後の動向に引き続き注視していきたいと思います。(高橋萌)