河野行革相「ファクス廃止」に霞が関が猛反撃 「そんなアナグロでデジタル化ができるのか!」

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韓国紙「日本の公務員はファクスが大好き」と皮肉

   こうしたニッポン公務員のファクス好きを、韓国の大手紙、朝鮮日報(7月28日付)が冒頭の読売新聞の記事を引用する形で、「日本の公務員『私たちはずっとファクスを使いたい』」という皮肉たっぷりの見出しでこう報じた。

「日本政府が行政デジタル化のために打ち出した『省庁内ファクス廃止』方針が1か月半で暗礁に乗り上げる危機に瀕している。政府省庁内から約400件の反論が寄せられるなど、反発が大きいからだ。河野改革相が問題提起するほど、日本にはファクスを愛用する文化が根強く残っている。昨年、人口約1400万人の東京都がファクス2台で新型コロナの新規感染者数を集計し、感染者統計情報が混乱したことがある。国会議員たちが依然としてファクスを好んでいることも障害になっている。政府省庁にファクスで問い合わせたり、資料を要求したりする国会議員に、公務員が『電子メールで送ります』と対応するのは難しいだろう」

と皮肉った。

   そして、電子版のこの記事に付けた「関連記事」のトップが、「韓国が『デジタル政府評価』で1位、日本は5位』」(2020年10月23日付) という見出しの記事だった。 経済協力開発機構(OECD)が実施した加盟29か国・地域の中で、どの政府のデジタル化が一番進んでいるかという調査で、韓国がダントツの1位となり、5位の日本を大きく引き離したという内容だ。さぞ、留飲を下げたことだろう。

「日本の公務員ファクス大好き」と報じる朝鮮日報(7月28日付)
「日本の公務員ファクス大好き」と報じる朝鮮日報(7月28日付)

   インターネット上では、中央省庁の「ファクス廃止」が激しい抵抗にあっていることに対し、こんな批判の意見があふれている。

   日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久氏は、こう指摘した。

「デジタル政府とは、基本的に安全性が守られるようにデジタル化を進めることであって、不安だからデジタル化しないというのはやや本末転倒のような気がします。個人的にはFAXは絶対に安心というわけではなく、信頼できるITシステムに変えていくことが重要です。急激にFAX全廃できなくても経過措置を設けるなどして、極力デジタル化を進めることが重要であると考えます。確かにFAXででき上がった事務処理を変えることは手間がかかり、意外と世の中にFAX愛好者は多いのですが、そういう人でも一度ITに慣れれば、意外と転向します。デジタルガバメントは、効率を上げることでリターンを出す一種の成長戦略でもあります。少しでも行政の手続きが便利になることを期待します」

   ほかにもこんな意見が多かった。

「いまだにFAXでないと機密性が確保できないというのは、明らかに昨今の情報セキュリティポリシーから言っても問題外。企業に高レベルの同ポリシーを要求してきて、肝心の官公庁がここまで遅れているとは、不安しかない」
「全廃は確かに難しいだろうが、新たなセキュリティシステムが必要なら投資して作ればいい。そういう事を怠ってきたから日本はIT後進国になってしまった。霞が関がこんなことで世の中の企業がついてくると思っているのですかね」
「できない理由を並べるのは簡単です。できる方法を考え企画立案して実現し、世の中を先に進めるのが官庁や大企業総合職のエリートたちの役割でしょう。仕事を放棄した反論と、それに折れるリーダーシップのなさに、日本が停滞している理由を感じます」
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