コロナ禍のニューワード「ピンデミック」って何?
社会が大混乱に陥っているなか、新しい「コロナワード」が産まれました。「pingdemic」(ピンデミック)です。
UK 'pingdemic' spreads as record 600,000 people told to self-isolate
(60万人が自主隔離になり、英国で「ピンデミック」が広がっている:英フィナンシャル・タイムズ紙)
What is a "ping demic" ?
(「ピンデミック」って何だ?:英ネットメディア)
接触者には、「コロナ追跡アプリ」による「感染者との接触通知」が届く仕組みになっているのですが、「ping」(ピンと鳴る)と「pandemic」(パンデミック)という単語を組み合わせた「造語」だそうです。
それにしても、アプリが「ピン!」と鳴ると「出社できない」というこのルール。人手不足に陥っている経営者たちは頭を抱えているようですが、当のビジネスパーソンたちはどうなのでしょうか......。報道を見る限り、「出社できなくて困った」という労働者側の声はあまり紹介されていないようです。
確かに、おおらかな英国人のことですから、業務を心配して無理に出社をする人が多いとは思えません。ふだんから、商店や行政機関の窓口では、人手が足りない時は堂々と「スタッフ不足」という貼り紙をして窓口を閉めてしまう人たちです。
今回の「pingdemic」(ピンデミック)も、「長めの夏休みだ!」と喜んでいる人が多いのではないかと、思わず推測してしまいました。
それでは「今週のニュースな英語」は、「self-isolate」(自主隔離)を使った表現を紹介します。
He was tested positive and self-isolated in the hotel.
(彼は陽性になり、ホテルで自主隔離中だ)
Some athletes disobeyed self-isolation rules
(何人か選手が自主隔離ルールに従わなかった)
Double jabbed in Wales won't have to self-isolate (ワクチンを2回接種したウエールズの住民は、自主隔離しなくてよい)
「ピンデミック」は、接触通知アプリが広く国民に浸透している英国ならではの現象でしょう。接触通知アプリもシステムも整っていないうえに、無理をしても出社しようというマインドが働きがちな我が国。「コロナとの共生」は英国以上に難しそうです。(井津川倫子)