いよいよ夏本番。太陽のジリジリするような日差しに、熱中症には要注意だ。
さらに長引くコロナ禍の中で、マスクの着用が求められているほか、冷房が効いたオフィスに長時間いることで汗が出にくい状況にあったり、知らず知らずのうちにカラダの水分が足りなくなっていたりする。生活リズムが崩れがちなうえ、運動不足で筋力が低下していることもある。熱中症のリスクは、より高まっている。
そんな熱中症予防の第一は水分補給。大塚製薬の「熱中症に関する調査」によると、78.2%の人が「こまめな水分補給」と答えている=下表参照。電解質を含む飲料や冷水、お茶などのペットボトルが手放せない。そうしたなか、「ポカリスエット」の大塚製薬が「もう一歩進めた」熱中症予防策として提案しているのが、「ポカリスエット アイススラリー」だ。
大塚製薬のニュートラシューティカルズ事業部の担当者と、「アイススラリー」を職場に取り入れた東映株式会社の経営戦略部グループ戦略室兼ハイテク大使館 係長、飯田友都さんに聞いた。
「深部体温」を下げる
―― 熱中症の原因に「暑さ慣れ」(暑熱順化)があると指摘しています。コロナ禍のなか、「暑さに慣れる」ために、どのようなことに気をつけて生活する必要があるのでしょうか。
大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部の担当者「熱中症は、梅雨明けなどの気温が急に上昇したときに多く発生しています。その理由の一つに、「カラダが暑さに慣れていない」ことが考えられます。暑さに慣れるためには、汗をうまくかいて体内の熱を放出する働きを、暑くなる前に目覚めさせることが必要です。ジムでひと汗かく、ウォーキングやジョギング、自転車などでしっかりと汗をかく。出勤時や帰宅時にひと駅分歩くなども効果的です。半身浴やサウナでしっかりと汗をかく、冷房は控えめにするなどを意識してください」
―― アイススラリーの特色として、「深部体温」を下げる効果があるといいます。「深部体温」がどのようなもので、その上昇によるカラダに変化をどのように知ることができるのでしょうか。
大塚製薬の担当者「カラダの温度は部位によって異なり、身体内部(核心部)の温度は高く、表面(外殼部)は低くなっています。通常、みなさんも体温としてわきの下や舌の裏で測定すると思いますが、研究の目的では食道温や直腸温などの核心部の温度を『深部体温』として用います。これは、皮膚温の測定は容易な一方、環境温の影響を大きく受けて変動することが理由です。
ふだん、皮膚表面の温度は感じやすくても、『深部体温』の変化そのものを感じることは難しいかもしれません。しかし、熱中症と深部体温は深くかかわっていることがわかっています。
カラダが暑いと判断すると、皮膚の血管に血液を集めて効率良く熱を逃がすと同時に、皮膚表面に集められた血液から汗をつくリ、汗が皮膚の表面から蒸発するときに気化熱を奪って体温を下げます。これが大まかな体温調節の仕組み暑熱環境ですが、暑さにさらされる時間が長いと、カラダが暑さに対応しきれず、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の上昇が抑えきれなくなリます。この危険な状態が熱中症です。 この状態になると、『深部体温』も上昇していき、『深部体温』が40度以上になると全身けいれんなどの熱射病の症状が出てしまうケースもあります」
「カラダの内側から冷やして熱から守る」
―― 「アイススラリー」の摂取で体温が低下する理由、また熱中症対策として水分補給がありますが、「アイススラリー」の摂取との違いを教えてください。
大塚製薬の担当者「『アイススラリー』とは、細かい氷の粒子が液体に分散した流動性のある氷で、通常の氷に比べ、結晶が小さいという形状によって冷却効果が高く、カラダの内側から効率よく冷やすことができます。イオン飲料をベースとした商品もあり、これは汗で失われるイオンを効率よく補給することができるだけでなく、体温の上昇に対して『カラダの内側から冷やして熱から守る』新たな身体冷却作用が確認されています。
アイススラリーを摂取すると、体温の上昇が抑制されるという点が、過去の研究結果から判明しています。水分補給との違いも、研究結果から導かれています。冷水、またはアイススラリーを摂取したのちに運動を行ったところ、アイススラリーの摂取によって、運動開始から30分迄の直腸温の上昇が抑制されていました。
ちなみに、熱中症対策にはご指摘のとおり水分補給が大切ですが、適切な水分補給には、電解質(イオン)の量や組成だけでなく、飲料に含まれる糖の種類も重要であることは忘れないでください」
―― 東映は、「アイススラリー」をどのように知ったのでしょうか。
東映の飯田友都さん「『アイススラリー』という言葉自体を最初に知ったのは2019年に企画・実施した暑さ対策を考えるためのハッカソンでした。それまで、『アイススラリー』という言葉も知らなかったのですが、参加された専門家の方々から何度も出てきた言葉だったので、印象に残りました。ハッカソン終了後に、『アイススラリー』について調べたところ、『ポカリスエット アイススラリー』という商品が販売されていることを知りました。
大塚製薬様は弊社の仮面ライダーシリーズでもお付き合いがあり、作品の関係者を通じてブランドマネージャー様をご紹介いただきました。新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、一次中断もありましたが、サポートしていただきました」
―― 「アイススラリー」の効果について、実際に摂取してみていかがでしょう。
飯田さん「サポートしていただいた商品はすべて撮影所に入れています。使用した方(アクションをされる方)への簡単なヒアリングでは、まず『飲みやすい』『おいしい』という感想がありました。一見効果とは関係なさそうですが、撮影に集中したい現場の方には『飲みやすさ』や『手に取りやすいこと』はとても大事なポイントです。
身体的な面での効果としては、深部体温を下げる効果があるので撮影中に頭がボーっとしたりフラフラしたりする感覚は例年と比較して少なかったという感想をいただきました」
「パフォーマンス前」が摂取のタイミング
―― 「アイススラリー」を、ふだんどのような時、タイミングで摂取されているのでしょうか。
飯田さん「『アイススラリー』のサポートを開始する前に、撮影チームの一部ではあるのですが、大塚製薬様に効果や効果的な摂取タイミングのレクチャーをしていただきました。その際に、ウォーミングアップ後からパフォーマンス前に摂取をすることや、摂取後に飲料を控える点などをアドバイスいただきましたので、その旨をスライドに落として、撮影所の窓口の方に送りました。
現状は撮影が常に同じ時間に行われるわけではありませんので、撮影のタイミングで随時にスタッフの方に冷凍庫から持って行ってもらっています。なるべく、レクチャーどおりのタイミングで『アイススラリー』を摂取してもらいたいとは思っておりますが、現場にお任せしている部分もありますので、実態がわらない部分もあり、効果的な摂取方法の知見の周知は課題の一つだと感じています。ただ、あまりにも厳しいルールを設けると摂取しにくくなるので、バランスが大切だと思います」
―― 大塚製薬さん、「アイススラリー」の効果的な摂取の仕方などはありますか。
大塚製薬の担当者「暑熱環境での活動前や活動の間に飲むのが効果的です。活動前から摂取しておくと、あらかじめ体温を下げることができ、その後の体温上昇を抑制する効果が確認されています。
現在、『アイススラリー』は『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』(公益財団法人日本スポーツ協会)で、熱中症対策の選択肢として推奨されるなど、日常のさまざまなシーンでの活用が期待されています。また、『アイススラリー』の摂取と、送風や冷風や、手や腕、足の冷却といったカラダの外部冷却との組み合わせも体温上昇の抑制に効果的といわれています」