「無料の高速道路」まで有料化か?
朝日新聞は重大なことを、さらに続ける。「高速道路の無料化がなくなる」というのだ。
「答申案では、法律で定める2065年までの(全国の高速道路の)無料開放について、延期する方針も示した。国交省は具体的な時期を法律から外そうとしているが、『将来的に無料開放する原則は維持している』と主張する。利用者負担を基本とし、現在無料の区間を原則有料に切り替える方針も示した。有料化は地域ごとに並行する一般道路があるかどうかなどを考慮し、個別に決めていく」
日本道路公団が2005年に民営化した際、2050年までに建設費の借金を返済し、無料化すると関連法で定めた。しかし、2012年の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を機に、巨額の更新費を確保する必要があるとして返済期限を2065年に延長していた。
国土交通省はその「約束」を法律から削除しようというのだ。もっとも「約束」が守られたとしても、44年後の話だが......。
そればかりか、注目されるのは、地方に現在多くある「無料の高速道路」まで有料化しようとしている点だ。
自動車、鉄道など乗り物関係に詳しい乗り物ニュース(7月27日付)「なぜ?『無料高速の有料化』検討 高速道路の料金どうするか 国が近く答申」も、この「無料の高速道路」の有料化を問題視した。
「なかでも、地方に大きな影響を及ぼしそうな議題の一つに、いわゆる『無料高速』の負担の在り方が挙げられます。主に地方で見られる無料の高速道路は、国土を縦貫する高速道路や都市部の高速道路など、高い交通需要が見込まれる路線が有料道路事業を基本として整備されてきたのに対し、国の税金で建設されてきました。なかには、有料区間と無料区間が混在する路線もあります。その有料化検討の目的は、『これからの維持管理費をどうするか』に尽きます」
多くの「無料高速道路」は国と地方自治体がお金を出し合って高速道路を建設する「新直轄方式」で作られた。管理者である高速道路会社は費用を負担していないため、料金を徴収しない。例としては、能越自動車「高岡ICから灘浦IC」、中部横断自動車道「佐久北ICから八千穂高原IC」、四国横断自動車道「西宇和島ICから宇和島北IC」などが挙げられる。
ところが、そこからも料金を徴収する「理由」を、乗り物ニュースはこう指摘した。
「この無料高速の整備にはさまざまな事業スキームがありますが、これまで(審議会の)委員からは『法整備した当時は維持費をどうするかという観点がなかった』といった指摘がなされています。2010年代以降、維持管理の重要性やインフラの老朽化問題が顕在化するなかで『従前の考え方はリセットせざるを得ない』との議論が出ているのです。NEXCO3社や首都高速、阪神高速、本四高速が2021年4月時点で計画している更新事業の費用だけでも、総額は約5兆2652億円に上ります。無料高速の有料化も、このような維持管理費の負担の在り方のひとつとして議論されているのです」
と嘆いている。