オリンピックに登場する国旗、国歌にはいわれがある!【7月は応援! 五輪・パラリンピック】

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抗日宣伝映画のテーマソングだった中国国歌

青空の下ではためく万国旗
青空の下ではためく万国旗

   次は中国だ。国旗は「五星紅旗」と呼ばれる。赤は共産主義革命を、大きな星は中国共産党と人民の団結を、4つの小さい星は労働者・農民・知識階級・愛国的資本家を表し、一端が大きな星に向かっているのは、中国共産党の指導に合わせて団結して進むという意味を込めている。

   2016年のリオデジャネイロ五輪では、4つの小さな星がいずれも上に向かい、党にそっぽを向いた形となり、中国が厳重抗議したが、IOCの原図が間違えていたことが原因だった。

   ちなみに、その旗は中国製だった、という笑えないエピソードを紹介している。

   国歌の題名は「義勇軍行進(進行)曲」。日中戦争当時の1935年、満州事変を取り上げた抗日宣伝映画のテーマソングとして作られた。

「起て! 奴隷となることを望まぬ者よ! 我らが血と肉で築こう 新しき長城を! 中華民族 最大の危機 一人一人が最後の鬨(とき)の声をあげよう」に始まり、「敵の砲火をついて前進! 前進! 前進! 進め!」

で終わる、戦意を鼓舞するような勇ましいマーチだ。敵が日本であることを思うと、落ち着かないかもしれない。

   文化革命当時は、作詞した詩人の田漢が迫害され、獄死したこともあり、毛沢東をたたえる歌「東方紅」が事実上の国歌として公式の場でも演奏された。しかし、文革の終結とともに再び、この歌が国歌として復活、その後田漢の名誉回復とともに正式に国歌として制定された数奇な歴史がある。

   中国には「中華人民共和国国歌法」があり、替え歌行為やBGM扱い、商業目的の広告としての使用には罰則があるそうだ。

   1964年の東京五輪の開会式では94の国と地域の国旗が掲げられた。今回はこの間の複雑化する国際情勢を反映し、205と倍に増えた。もちろん、多くの日本の金メダルを期待しているが、聞いたこともない、知らない国や地域の国旗が掲げられ、国歌が流れることもまた楽しい。(渡辺淳悦)

「オリンピックでよく見るよく聴く国旗と国歌」
吹浦忠正・新藤昌子著
三修社
2750円

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