陽性選手の隔離に「外交問題にする」と怒るオランダ
AFP通信(7月27日付)「Tokyo 2020: Australia's swimming coach apologises for mask-tearing antics」(豪競泳コーチが謝罪、マスク引き剥がして狂喜乱舞」が、凄まじい熱狂的応援ぶりとコロナ禍の危険性を、こう伝える。
「豪州競泳代表のコーチが7月27日、東京五輪で金メダル獲得の喜びのあまりマスクを引き剥がし、新型コロナ対策の厳格な規則を破ったことを謝罪した。同コーチが喜びを爆発させる動画はインターネット上で拡散され話題を呼んだ=下の写真参照。ディーン・ボクソール氏は、自チームの女子選手が最大のライバルの米国選手を破ると狂喜乱舞した。歓喜の雄叫びを上げて長髪を振り乱し、宙を蹴って拳を振り下ろし、最後は(感染防止の)透明の柵を腰で突き上げた。
またマスクを引き剥がすと、無観客のスタンドに投げつけんばかりの勢いで喜び、その近くでは大会ボランティアたちが不安そうに右往左往していた」
その姿は1990年代に活躍し、リングロープを揺らす派手なパフォーマンスで有名な米国プロレスラー「アルティメット・ウォリアー」に例えられるほど、ボクソール氏はSNS上で一躍人気となった。しかし本人は、緊急事態宣言下にある東京で新型コロナ対策を破ったのは度を過ぎていたと反省した。
豪テレビ局に、
「あの瞬間はわれを失っていた」
と弁明したのだった。
まだ、この水泳コーチの例は「可愛い」ほうかもしれない。コロナ禍で陽性になった選手に対する厳格なルールの対応が、その国の五輪員会から抗議を受ける羽目になっている。
時事通信(7月28日付)「陽性選手の隔離状況『受け入れられない』 オランダ五輪委員会」が、こう伝える。
「オランダオリンピック委員会(NOC)は7月27日、新型コロナの陽性反応が出た選手の『受け入れがたい』隔離状況について、IOCと協議すると発表した。NOCのテクニカルディレクター、マウリッツ・ヘンドリクス氏によると、五輪チームの6人(うち3人はボート競技代表)が陽性反応を示し、現在は『非常に劣悪な環境』で隔離されているという」
7月27日に東京都内で行われた記者会見でヘンドリクス氏は、こう述べた。
「選手らはすでにオリンピックドリームを失い、そして今、さらに良くない状況に追い込まれている。われわれはこの問題をIOCに提起し、また駐日大使にも日本でこの問題を提起するよう求めた。最も重要なのは、選手らが日の光を浴びることも、新鮮な空気を吸うことも許されていないこと。室内にとどまらなければならず、食事も...... 狭い空間も問題だ」
と、IOCとの協議だけでなく、日本政府との外交問題にすると、息巻いているのだ。大丈夫か、東京オリンピック?
(福田和郎)