半導体装置大手のディスコの株価が2021年7月21日の東京株式市場で一時、前日終値比350円(1.1%)安の3万450円まで下落して年初来安値を更新した。
前日20日の取引終了後に発表した2021年4~6月期連結決算は、世界的な半導体不足の「追い風」を受けて、最終利益が前年同期比63.5%増の105億円と好調を維持。出荷額は四半期として過去最高を更新した。
しかし、好材料出尽くし感があるなかで、同時発表の2021年9月中間期の業績予想が市場予想平均並みだったことを嫌う投資家がいたようだ。
5GにEV... 半導体需要は拡大している
ディスコ株は、もともと7月20日まで4営業日続けて終値が前日を下回っており、下落基調にあった。16日付の日本経済新聞朝刊が「4~6月期の営業利益が前年同期比5割増の140億円強」と報じ、市場予想平均を下回る水準だったことが嫌気されていた。
20日の決算発表では66.4%増の154億円と日経新聞の報道をやや上回ったものの、なお20日時点の市場予想平均(168億円)を下回った。
ディスコは業績予想について、
「顧客の投資意欲が短期間で激しく変動し需要予測が困難なため、1四半期先までの開示」
とするスタンス。
このため7月20日に発表した中間期の予想は初めての開示となる。それを見ると、売上高は前年同期比27.9%増の1064億円、営業利益は46.0%増の341億円。最終利益は45.8%増の242億円。これまで需要をけん引してきた高速通信規格「5G」の普及に加え、電気自動車(EV)用半導体向け装置の需要が拡大する。
市場予想平均の売上高、営業利益は中間期でみればディスコ自身の業績予想を上回り、7~9月期でみれば、ディスコ自身の業績予想をやや下回るという微妙な水準なのが、投資家には物足りなかったようだ。
コロナ禍でリストラを余儀なくされる運輸観光業界などから見れば、うらやましい限りの業績ではあるが、市場の期待を広くつなぎとめるのはなかなか難しいということを改めて示した。