「ソロバンを抜きにして日本の選手を応援したい」
「前回の東京五輪後、景気は急落したよ。次の年、1965年は大不況。山陽特殊製鋼が負債総額500億円で倒産した(編集部注:山陽特殊製鋼倒産事件)。証券恐慌を防ぐために山一證券に日銀特融、戦後初の赤字国債発行をした。それでも前回は、インフラの整備やアジア初など、開催することの意義を見出だせたが、今回はどうだろう。成熟した都市である現代の東京で、パンデミック中に強行開催する意義が見出だせない」
「ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者)が7月21日付日本経済新聞のインタビューにこう語っていた。――昔から『オリンピックを開催すれば景気が良くなる』とか『大きな経済波及効果が得られる』といったことが信じられてきましたが、実際のところ、開催による経済効果はほとんどありません。むしろ、がっかりするような結果に終わることが多いのです。主催国はオリンピックのために多額の投資をしますが、開催後は使い道のない施設が残されるだけ。パンデミック下でオリンピックを開催したところで、国の経済的利益は最小限でしょう。平時であっても国全体の景気を押し上げるような経済効果は見込めません。仮にどこかの国の政府が私に『経済成長のためにオリンピックを招致したほうがよいか』と助言を求めてきたら、『やめたほうがよい』と反対するでしょう。つまり経済性からみれば、オリンピックの開催は合理的でないのです――と」
「景気は文字どおり気の持ちようだと言うが...。今までの五輪と今回が大きく前提条件が違うなか、過去を未来に投影したり、相関を因果にこじつけたり、さすがに無理がある。総選挙も控えているし、不確実さが大きいからしばらく軟調じゃないかなあ」
最後にこんな声を紹介したい。
「株は心理的な要素も多々あるけど、こういうのを『とらぬ狸の皮算用』という。こんなソロバンを抜きにして日本の選手を応援したい」
株価はともかく、10個まであと4個。まだまだ金メダルの有力候補が目白押しの日本選手団に期待は膨らむ。
(福田和郎)