「金メダルラッシュ」に沸く東京五輪 「日本選手が金10個以上取ると株価が上昇する」ってホント?

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   東京オリンピックが開幕して3日目の2021年7月25日、日本選手団の「金メダルラッシュ」に沸いた。

   柔道の阿部一二三(あべ・ひふみ)・詩(うた)兄妹、競泳の大橋悠依(おおはし・ゆい)、スケートボードの堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)。前日の柔道の高藤直寿(たかとう・なおひさ)。さらに4日目の26日には、女子スケートボードで西矢椛(にしや・もみじ)が、なんと13歳の日本勢史上最年少の記録を打ち立てて金メダルを獲得。早くも6個の金メダルだ。

   折しも、「過去のオリンピックでは、日本選手が金メダルを10個以上取ると株価が上昇する」というエコノミストのリポートが発表された。

   今回、日本選手団は30個以上の金メダルを目指すといわれる。ドンだけ株価が上がるのか! ホントなのか?

  • 金メダルラッシュで株価は上昇する?(写真はイメージ)
    金メダルラッシュで株価は上昇する?(写真はイメージ)
  • 金メダルラッシュで株価は上昇する?(写真はイメージ)

前回の「東京五輪」以外は軒並み株価が上昇したが......

   話題になっているのが、東京五輪の開会式が行われた2021年7月23日に共同通信が配信した「金10個以上なら株価上昇 過去の夏季五輪、市場も期待」という見出しの記事だ。こう伝えている。

「日本勢が五輪で10個以上の金メダルを取れば、株価が上がる――。こんなリポートを三井住友DSアセットマネジメントがまとめた。過去の夏季五輪での金メダル獲得数と期間中の株価の動きを調べたところ、日本勢の活躍に呼応するように日経平均株価も上昇していたという。
リポートでは、金メダルを11個獲得した1968年のメキシコ大会で平均株価が2.3%上昇したのを皮切りに、72年のミュンヘン(13個)、84年のロサンゼルス(10個)、2004年のアテネ(16個)、16年のリオデジャネイロ(12個)と軒並み株価が上昇した。市場関係者は日本選手が活躍することに期待を寄せている」

という内容だ。

   記事に出てくる三井住友DSアセットマネジメントは、三井住友ファイナンシャルグループ系の投資運用会社で、このリポートは同社の理事でチーフエコノミストの宅森昭吉氏が7月1日付でホームページに掲載した「宅森昭吉のエコノミックレポート:7月のトピック」である。

参考リンク:7月のトピック「『ドラゴン桜』最終回視聴率20.4%で上半期連ドラ視聴率首位、6月末時点で本塁打28本の大谷翔平の活躍など身近なデータで明るい動き。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で4~6月期GDPは弱含むが、6月の日銀短観・大企業製造業DI は18年12月以来の水準まで回復

   リポートの中に「日本の金メダル数が2ケタに達した五輪で、メキシコ大会以降、日経平均株価は大会期間中にすべて上昇」という項目があり、冒頭にこう書かれている。

「オリンピックと経済の関係というと、すぐ経済効果はいくらだという人も多いが、今回はスタジアムなどの建設は昨年までに終了している。またコロナ禍で一般の外国人の来日がないのでインバウンド需要もほとんどない。今大会は、選手の活躍が人々の気持ちを前向きにさせる面の影響が大きいと思われる。
2016年のリオオリンピックで日本は金メダルを12個獲得し、ランキングは第6位。ランキング10位までの国の金メダル数と当時の世界経済に占める名目GDPのシェアの相関係数は0.868と高い。選手育成などにお金をかけられる国が強いともいえるし、金メダルを獲るとその国の人々が元気になって、景気が良くなるともいえ、相乗効果が生み出されたようだ」

と、分析。こう続ける。

「日本の金メダル数が2ケタに達した大会は、東京(1964年)、メキシコ(1968年)、ミュンヘン(1972年)、ロサンゼルス(1984年)、アテネ(2004年)、リオ(2016年)の6大会だ。このうち、建設投資の反動でオリンピック開催月の10月が景気の山となった1964年の東京大会を除き、日本の金メダル獲得数が2ケタに達した5大会では、日経平均株価は大会期間中にすべて上昇した。
ちなみにモントリオール(1976年)以降、10個に到達しなかった大会は、1大会を除いてすべてマイナス推移だ。唯一の例外は2012年のロンドン。金メダルは7個と少なかったが、銀・銅を含めたメダル数が38と、当時で史上最多となり、マインドに大きくプラスに働いたと考えられる=下の図表参照
図表:日本の金メダル獲得数と日経平均株価の変動率(三井住友DSアセットマネジメント作成)
図表:日本の金メダル獲得数と日経平均株価の変動率(三井住友DSアセットマネジメント作成)
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