起業の世界的拠点めざす神戸市 スタートアップ育成プログラムのオンライン化で参加枠を大幅拡大

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神戸市に拠点設ける有力企業も続々

   神戸市は、日本発の「スタートアップ・エコシステム」を、この地から生み出すことを目指し、500 Startupsと連携した短期集中型起業家支援プログラム「500 KOBE ACCELERATOR」を、2016年から開催してきた。

   市では、成長が見込まれる海外の起業家に最大1年間の在留資格を認め、外国人が起業しやすい環境を整える制度も設けているほど、手厚い。

   こうしたことから、参加者は2020年までの5年間に世界中から延べ1000社以上の応募があり、これまで計88社がプログラムに参加。年々海外からの参加者が増え、過去2年は半数を超えた。

   オンライン開催した昨年は過去最高の237社の応募数を記録。企画調整局新産業課の武田卓課長によると、参加企業の資金調達額は計約120億円。「プログラム参加前までは資金調達もままならない企業が多く、その意味でも意義あるプログラムになっている」と話す。

   このプログラムへの参加をきっかけに、市内に拠点を構える企業も現れている。武田課長は、神戸市と関係を深めている企業の事例を紹介。いずれも先端的な業務を担い、さらにイノベーションを深める可能性を秘めているという。

武田卓課長は、「この次の5年間で1000社を支援したい」と語った。
武田卓課長は、「この次の5年間で1000社を支援したい」と語った。

   海外の企業からは、米国の英語教育ベンチャーとして2017年にシアトルで創業した「Native English Institute(ネイティブ・イングリッシュ・インスティチュート=NEI)」が、2019年にプログラムに参加。日本進出の足掛かりとし、20年2月、神戸市に日本法人を設立した。同社はAIを使ったオンライン英会話学習で成長。世界で登録者を増やしており、日本ではITや製薬業界で導入が進んでいる。

   また、シンガポールのスポーツテック企業で、遺伝学などに基づきフィットネスプログラムを提案するアプリを開発した「ELXR(エリクサー)」も参加企業の一つ。18年のプログラムに参加。20年1月に神戸市に日本法人を設立した。このコロナ禍で、サービスの需要が高まっていると、順調なようだ。

   日本の企業では、京都で2014年に創業したAIベンチャーの株式会社HACARUS(ハカルス)を紹介。同社は16年のプログラムに参加して約13億円の調達に成功。その後、神戸市内に事業所を開設した。少ないデータから本質を読み解くという「スパースモデリング」による分析でAIを活用し、新しい診断・治療支援を実現した。

   16年設立の株式会社T-ICUは、病院向けに遠隔で集中治療医によるプロフェッショナルなアドバイスを提供する日本で唯一の会社。18年のプログラムに参加して約3億円を調達。コロナ禍の中で神戸市と連携を深め、今年に入って本社を芦屋市から神戸市に移転した。

   このような実績を踏まえ、武田課長は、

「この次の5年間で1000社を支援したい。これまで培ったノウハウを使い、スタートアップの支援広げていきたい」

と、抱負を語った。

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