日銀が気候変動対策 「脱炭素社会」の実現に向け支援制度 金融政策の中立性に疑義も......

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大手メディアも「積極」「慎重」に意見分かれ......

   こうした問題も抱えるだけに、大手紙の報道も、積極・慎重に割れた。

   社説で取り上げたのは7月22日現在、読売新聞と日本経済新聞だけだが、政府寄りの論調が目立つ読売新聞(7月20日付)が「効果的な側面支援となるか」と疑問符をつけんばかりの見出しで載せたのが目立った。

   本文では「温暖化をリスクとして意識することは理解できる。ただ、特定分野に肩入れすると、中央銀行の中立性を損ない、民間の経済活動をゆがめる恐れがあることに留意せねばならない」と指摘。導入するにしても「資金供給の際、金融機関に対する十分な情報開示の要請が不可欠だ。制度がどの程度の実効性を上げたかの検証も大切となる」と、クギを刺した。

   一方の日本経済新聞(7月17日付)は、ECBなどの世界の潮流の中での日銀の新制度だとの認識を示し、中央銀行の本来の使命との整合性への配慮を求めつつ、「質の高い融資につながる制度を設計してほしい」「政策の狙いや効果を十分に議論し地に足のついた政策につなげたい」と、全体に前向きに評価している。

   他紙は、一般記事で大きく報じた。このうち毎日新聞(7月17日付朝刊)は、融資案件が脱炭素に資するかの判断を民間に委ねたことに、金融機関側から「政府や日銀にもっと主体的に動いてほしい」との声があることを紹介。「(気候変動関連の)市場の拡大を促す制度設計をしないと日本は競争で劣後しかねない」とのアナリストの懸念を引用し、「欧州に比べ踏み込みの浅い制度になった」と、日経以上に尻を叩くトーン。

   逆に、朝日新聞(同日付)は脱炭素という特定領域にお金を重点的に流すことに、「やや慎重さを欠いているのではないか。政策領域が今後さらに広がる余地を残した」との日銀幹部の声を載せ、金融政策の中立性の観点から疑義を呈している。(ジャーナリスト 岸井雄作)

(2021年7月20日執筆)

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