波紋を広げるゆうちょ銀行の手数料改定
超低金利が長期化するなか、銀行業界は本業の融資では儲けにくくなっており、これまで顧客サービスの一環として水準を抑えていた各種手数料の値上げも相次いでいる。
今回の振込手数料値下げはあくまで例外であり、全体としては利用者の負担が増える傾向には変わりがない。
それは融資業務が認められていなくても、運用益が超低金利の影響を受ける、ゆうちょ銀行も同様だ。そのゆうちょ銀行が、2022年1月17日に実施する手数料改定が波紋を広げている。
ゆうちょ銀の改定は多岐にわたるが、特に利用者への影響が大きくなりそうなのは、ゆうちょ口座でゆうちょATMを利用する際の料金だ。硬貨を含む預け入れや払い戻しをする場合、現在は手数料を取っていないが、新たに1件当たり110円を徴収する。また、駅や商業施設、コンビニエンスストアなどに設置してあるATMで預け入れや払い戻しをする場合にも、現在は無料だが夜間や休日など時間帯によって110円を取る。
かつて、国が運営していた郵便貯金は、あらゆる場所で誰でも利用できる公共サービスとしての性格を帯びていたことがあり、民営化された現在となっても、そういった期待は大きい。財布代わりに口座を使っている人も年齢が高い世代を中心に多いと見られ、硬貨を出し入れするたびに料金を徴収されると、強い反発が起きかねない。
経営体力をそがれ、余裕がなくなってきた銀行。利用者にとっては付き合い方を考え直す機会なのかもしれない。(ジャーナリスト 済田経夫)