大企業も副業解禁する動きが加速しており、ワークスタイルの一環として注目を集める存在になってきました。
副業とは、本業以外に収入を得る仕事のこと。たとえば、商社に勤務しながら、休日に飲食店でアルバイトをすれば「副業している」ことになります。あるいは、ネットショップを開店して自分が制作した絵画を販売するのも副業。広義にはマンションの部屋を人に貸して家賃収入を得たりするのも当たります。
副業は後ろめたい... 「容認」の会社はわずか3.8%
サイドビジネス、兼業などに加えて、「ムーンライター」と呼ぶ人もいます。平日の昼間に行う本業が終了した後に、月明かりの下で働く姿をイメージした言葉。会社に内緒で「コソコソやる」といった、後ろ向きのニュアンスを感じてしまいます。
ちなみに、世間には副業するなら何がいいのか? を探せる専門誌や情報サイトがたくさんあります。
ところが、最近まで社員に副業を容認していた会社は皆無といっていいでしょう。仮に副業がばれると上司や同僚から冷たい目でみられて、社内でマイナス評価につながる可能性があるので、大手を振って公表する人なんていません。
中小企業庁の調査によると、副業を容認している会社は、わずか3.8%。そんな「後ろめたさ」を感じてしまいがちな副業について、日本政府は社員に推奨するための指針づくりを進めています。
背景は人手不足の解消や、新たな雇用機会の提供なのですが、会社勤めを続けながら、勤め先に縛られない自由な発想で新しい事業を起こしたい人=起業の支援も狙いの一つです。
小さく始めて大きく育てる
その一例が経済産業省の創業・新事業創出に関する研究会による副業の容認を広める活動。あるいは各種メディアが副業の促進をすすめる動きになりつつあります。
ならば、副業を堂々と行ってみてはどうか――。ただし、どうせやるなら短期的な稼ぎよりはトレンドに合わせて、起業の視点で取り組んでみましょう。
「起業視点」とは、法人化の可能性を探り、継続性、成長性のありそうなテーマを取り組むこと。たとえば自分のブランドを立ち上げるとか、アプリ開発、Webサービスなどで「起業視点」の副業を始めて、大きくビジネスを広げているケース。将来的には副業ではなく本業にすること、あるいは社員を雇って大きく伸ばすことも可能な状況になってきたといえます。
さらに、そんな状況を後押しするきっかけになったのが、コロナ禍かもしれません。リモートワークで会社も個人も副業をすることが可能を実感した人は少なくありません。なかには副業で自信をつけ、雇用者からフリーランスに転じる動きも増えていますが、そこまで転身をすすめるというよりは、専門性を磨き、本業とのシナジー効果を高めることを前提に副業に取り組んでみてはどうでしょうか。(高城幸司)