「テレワークは思いっきり成果主義だ」
テレワーク賛成派からは、こんな声が多かった。
「私はフリーのエンジニアでコロナ前からテレワークで仕事をしていますが、テレワークのほうが楽です。通勤や社内でのコミュニケーションがストレスなので。家で黙々とプログラムを書いているほうが、生産性でもメンタル面でも最高と感じています。結局は、職種による向き不向きもあると思いますが、性格による向き不向きもあると思います。現時点で感染対策として実施するのは大事ですが、コロナ後には柔軟に働き方を選択出来るようになると素晴らしいなと思います」
「性格による向き不向き、絶対あります! 同僚がオンライン会議で、テレワークだと一人暮らしだから毎日寂しい、と涙声で打ち明けたのには驚きました。私は、永遠に在宅勤務が続けばいいのにと思っている。内向的なので人と話すと疲れて、クールダウンが必要だ。テレワークが選択できるようになると、都市部に住む必要がなくなり、地方住まいで能力があるのに東京で働けない人材をテレワークで生かすことができる。通勤が短くなれば、余力が残ってデートしたり、子どもができたりで、少子化が解決するかもと思う」
「小さい子がいると、保育園の送迎とかあるし、テレワークだと本当ありがたいですね。通勤があると、フルタイムで働くことすら難しくなりますから」
「テレワーク最高!暑くても汗だくになって電車乗らなくていい。たまに会社行くと新鮮。今日は久しぶりに出社。今年3回目。出社の前の日は、遠足の前の日みたいな気持ちになります。こんなことは、以前は絶対になかったな」
一方、テレワーク反対派にはこんな意見もあった。
「みんなテレワーク万歳って言っているけど、それは思いっきり成果主義になるということでもある。だから、これが当たり前で入ってくる新社会人が社会の主力になる10年後くらいには、今テレワーク万歳と言っている私たちは、想像以上にドライに切られる可能性はありますね」
「業績を出せない人が切られることもそうだし、対面しないことで『情』の部分がどうしても希薄になるからね。『成果はイマイチだけど頑張っていたよなあ』みたいな『救ってあげよう』という気持ちになりにくいケースが増えてくる」
「テレワークって、最初はデメリットに考えが至らない層が手放しで喜んでいた。飲み会に誘われなくて楽! とか、自由に時間使える! とか。勘違いしているが、テレワークはコミュニケーション能力が高く、生活リズムの維持管理がしっかりできて、仕事の成果を目に見える形でどんどん出せる。あるいは、目に見えにくい成果を自らどんどん積極的にアピールできる......。そういうタイプじゃないと大変なのに」
「テレワーク制度、とてもいいと思いますよ。でも、お子様がいるおうちではお母さん達の悲痛な声も。子供を常に静かにさせないといけない。リビングで仕事をされるから、残りの家族は子ども部屋で固まって過ごすとか。オンライン会議があるからと掃除機もかけられないなど......。ご主人からコーヒー淹れてとか、秘書のような扱いを常にされると嘆いている方もおりました」
また、1年半もテレワークを続けていると、こんな事態に。
「1年半、ほぼテレワークだけど、人事異動で入れ替わったから同じ部署の2割ほどは会ったこともないな。仕事でやり取りしている他の会社や他部署の人も、半分は顔も見たことがない。すごい時代になったものだ。15年ほど前、外資系に転職した友人が上司はシンガポールに住んでいて会ったことがないと言っていたが、そんな時代になるとは思わなかった」
「コロナ禍後、外資に転職した友人も完全テレワークで面接ですらオンライン。同僚の誰とも会ったことがないそう。オンライン会議で画面越しには会うが、男性ですら美肌加工したりして、素顔は謎だと(笑)。テレワークといっても、今はほとんどが、会ったことのある人たち同士がオンラインでやり取りする働き方だと思うが、友人みたいな環境で長年働くとなると、どうなのだろうと思う」
(福田和郎)