児童手当ボーナスに困窮家庭向けレジャー・ボーナスも! コロナ禍のドイツの子育て世帯支援策(高橋萌)

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学習の遅れを取り戻せ!教育分野に約2640億円の追加支援

   なかでも、一律に現金が給付された児童手当ボーナスの反響は大きく、「これでタブレットを買ってあげられる」「3人兄弟の三食分の食費だってばかにならないんだから」と歓迎する声を聞いた一方で、「選挙対策のパフォーマンスだ」「金額が十分ではない」「一人親世帯の負担はもっと深刻、同様の支援では足りない」などの批判も上がりました。

   私自身はコロナ支援策の内容を見て、「収入が激減したとしても、命までは取られなさそうだ」と、ホッと胸を撫で下ろしたものです。先行きの見えない状況において、簡単にアクセスできるセーフティーネットの存在は重要だと改めて感じました。

学校再開後は、週に2回のテストで陰性の生徒のみが出席できます。低学年は綿棒を飴のように舐める唾液採取型のPCR検査を受けます。
学校再開後は、週に2回のテストで陰性の生徒のみが出席できます。低学年は綿棒を飴のように舐める唾液採取型のPCR検査を受けます。

   今年5月、ドイツ連邦政府は新たに20億ユーロ(約2640億円)を教育分野に追加支援することを決定しました。この支援プログラムは「キャッチアップ・プログラム」と呼ばれ、学習の遅れを取り戻すことと、そして児童生徒の精神的なストレスの緩和にフォーカスしています。

   「およそ4分の1の生徒に大きな学習の遅れが見られる可能性がある」と、この追加支援に先立ってアニヤ・カルリチェク教育研究省大臣は危機感を示していました。まさに我が家のように子どもが低学年、しかも移民の背景を持つ家庭や、進学試験を控えた高学年の子どもを持つ家庭で、今後の学業への影響が真剣に懸念されています。新学期から一斉に開始される予定の補習や水泳コースなど、集中的な学習機会が増えるのは、親としては大歓迎です。

   また、貧困家庭や所得の低い家庭向けには子ども一人当たり100ユーロ、一度限りの「子ども向けレジャー・ボーナス」を8月に支給することも決定しました。

   子どもの心理的な危機、精神疲労を救うことも、喫緊の課題です。我慢を強いられてきた子どもや若者が夏休みに少しでもリフレッシュして、新学期を迎えられますように。(高橋萌)

高橋 萌(たかはし・めぐみ)
高橋 萌(たかはし・めぐみ)
ドイツ在住ライター
2007年ドイツへ渡り、ドイツ国際平和村で1年間の住み込みボランティア。その後、現地発行の日本語フリーペーパー「ドイツニュースダイジェスト」に勤めた。元編集長。ドイツ大使館ブログでは「ドイツ・ワークスタイル研究室」を担当。サッカー・ブンデスリーガ大好き。日本人夫とバイリンガル育児に奮闘中。
Twitter: @imim5636
神木桃子(こうぎ・ももこ)
神木桃子(こうぎ・ももこ)
ドイツ在住ライター
島根県生まれ、東京・多摩育ち。物事の成り立ちを知りたいと大学では有機化学を専攻。小売業界でのオーガニック製品や地域産品のバイヤーを経て、2014年よりドイツに移住。「もっと心地よくグリーンな暮らしへ」をテーマに、ドイツのマーケット情報やトレンド、ライフスタイルについて執筆活動中。3歳になる娘と日本人の夫との3人暮らし。
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